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ファイターズが王柏融に宛てた、
107ページもの「ラブレター」。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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posted2019/01/04 10:00

ファイターズが王柏融に宛てた、107ページもの「ラブレター」。<Number Web> photograph by AFLO

MLBで活躍した王建民に憧れて野球を始めた王柏融。高校までは無名だったが、大学で急成長。台湾リーグ5冠王にまでなった。

107ページものラブレター。

 前置きが長くなったが、弊球団の誇らしい話を記させてもらうことにする。

「台湾の大王」、とてもピュアな野球少年である。

 北海道日本ハムファイターズは、107ページの「ラブレター」を野球少年へとしたためたのだ。ハートを射抜くために、振り向かせるために、綴ったのである。

 107ページ――。

 12月19日、台北での会見でラミゴ・モンキーズの劉カイ廷 球団社長兼GM(カイ=王へんに介)は、こう語っていた。

「彼のために107ページもの資料を提出し、データ分析はもとより札幌のどこにおいしい台湾料理店があるかといった情報まで紹介してくれています」

 ファイターズからラミゴ、王選手へ「チーム紹介資料」として、贈ったのである。ポスティング制度で、選んでもらうために作成をしたのだ。後日、確認して教えてもらったが、それが完成した時には107ページに及んだのだという。

チーム紹介資料を作成した2人。

 ポスティングでの移籍だけに、金銭的な部分を含むプレーをするための「条件面」が、選択してもらうための大きなウエートを占めることは、自明の理である。その「数字」に、球団の熱意も反映されるだろう。ただ、プラスアルファでほかに思いを届ける手段はないか――。

 それが107ページである。

 ファイターズの外国人補強の最前線にいる渉外担当の方から、その「チーム紹介資料」をメーンとなって作成する依頼を受けたのは2人。入団2年目のデータ分析をするアナリストと、1年目の通訳である。その若き2人は、米球界を含めて海外の野球への関心が高い。王選手を獲得することの意義、それに携わる仕事の価値を悟って、動いたのだろう。

 その渉外担当の方からのリクエストは、球団の命運を握るシビアなものだったそうだ。

 そこから107ページが生み出されたのだ。心を、動かしにいったのである。

【次ページ】 アナリストと通訳の手腕。

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