プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・小林誠司が生き残るために、
打撃だけではない重要な課題とは。
posted2019/01/04 10:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
「とにかく打たないと後がないと思う」
2019年のシーズンに向けて、巨人の小林誠司捕手が掲げたテーマは打撃だった。
プロ入り6年目。入団から順調に正捕手への階段を登ってきた小林にとって2018年は初めて本格的な壁にぶつかった年だったかもしれない。
プロ2年目の2015年の70試合から16年は129試合、そして17年は138試合と増やしてきた出場試合数が、'18年シーズンでは119試合へと減少。しかも先発マスクは95試合まで激減した。
挙げ句の果てにオフの補強では西武からフリーエージェントとなった炭谷銀仁朗捕手が加入。阿部慎之助内野手の捕手再チャレンジも決まり、小林にとって2019年は、まさにサバイバルをかけたシーズンとなる。
そこで小林が掲げた個人的な目標が打撃力のアップだったのだ。
「本心から言えば2割5分」
ある意味、もっともな目標ではある。
打率2割1分9厘、2本塁打の26打点。今季は規定打席にも到達しなかったが、この数字で規定打席に達していれば、もちろんダントツの最下位、いわゆる“逆首位打者”である。
「最低でも2割4分。本心から言えば2割5分。もうちょっと打てば、すごいキャッチャーになる」
秋季キャンプでは原辰徳監督から、こう最低ノルマが課され、お尻を叩かれたという経緯もある。
「やはり打つ方でバントとかチームバッティングとかも含めて貢献したい」
小林がこう語るのは当たり前といえば当たり前のことでもあった。
だが、である。
なぜチームがわざわざFAで炭谷を獲得したのか。その背景を探ると、打つことだけでは、小林が再び巨人の正捕手を奪回できるとは到底思えないのだ。