第95回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
土壇場での成長に期待の上武大学。
日本大学は陸上競技部全体の誇りをかけて。
text by
箱根駅伝2019取材チームhakone ekiden 2019
photograph byYuki Suenaga / AFLO
posted2018/12/13 11:00
2年生が続々と自己新をマーク。
だが、好材料もある。11月の上尾ハーフで武田悠太郎(2年)をはじめとする下級生が自己新をマーク。その武田と横山、野田啓太ら2年生は、10月の日体大記録会10000mでも自己新を叩き出している。記録的には29分台ではあるが、上り調子であることは確かだ。
「ここ数年は、ケガや体調不良などがあって、主力が自分たちの実力を出し切ったレースは少ない。だからこそ、まずは自分たちが持っている力を最大限発揮すること。それが私たちの大きな課題です」
主将の加藤もそうだが、確かにここ最近の日本大学は、体調不良やケガに悩まされ続けてきた。そのため、予選会があるときはどうしても夏合宿での追い込みが消極的になってしまっていた。しかし、今回は予選会もなく、そして大きなケガで戦線を離脱する選手を出すこともなく、夏の走り込みを長期に渡って行えたことで、ようやく課題であった『持てる力を出し切る』駅伝ができるチャンスを得たのである。
武者監督が持つ指導ポリシー。
武者駅伝監督が、常に口にする言葉がある。
「生活がきちんとできていなければ、成績は出ない」
練習だけが頑張れていれば試合で結果を出せるわけではない。どんな環境下でも自分の持てる力を出し切れる選手というのは、生活習慣がしっかりしている。それは選手として、また引退後に指導者として多くの選手を見てきた武者駅伝監督が持つ、ひとつの指導ポリシーだ。
寮の裏手にクロカンコースを完備する現在の稲城にある合宿所に拠点を移して約2年が経った。その生活リズムに選手たちも慣れはじめ、徐々に練習だけではなく、生活もコントロールできはじめている。だからこそ予選会をパスして本大会に挑める今季、攻める駅伝でシード権を目指す。
「1、2、3区をひとつの区間として見て、主力を使って前半に流れを作りたい」
そう話す武者駅伝監督。ワンブイはおそらく2区だろうが、1区、3区に北野太翔(1年)、横山を置くことができるなら、その流れを阿部がつないで上位を臨める位置をキープして往路を折り返すことができるはず。
彼らが実力通りの力を発揮できれば、目指すシード権もそう遠くない。
果たして今回、古豪復活となるか。駅伝チームではなく、日本大学陸上競技部全員で勝ち取った箱根路への切符をムダにすることはできない。
その強い気持ちが古豪をシード校へ引き上げるきっかけになることだろう。