“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
独善的なFWが大人になった訳――。
清水・北川航也、カタールW杯の夢。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/08/15 07:00
フィジカルの強さ、プレーのスピード、そして類まれなテクニック……あとは結果が待たれるだけの北川航也。
順調なスターダムへの階段が……。
結果、2013年にUAEで開催されたU-17W杯からは落選。
高3となった2014年にはU-19日本代表に再び選出され、AFC U-19選手権(ミャンマー)に出場を果たした。しかしチームはエースの南野拓実(現・ザルツブルグ)が孤軍奮闘する形で、結局準々決勝で北朝鮮にPK負け。翌年のU-20W杯出場権を逃してしまった。
2015年に清水ユースからトップ昇格すると、ルーキーながらJ1リーグ7試合に出場し、プロ初ゴールもマーク。ここからコンスタントに出場機会を得たが……スタメン出場はわずか。このシーズンは怪我などもあり、「怪物・天才」と呼ばれていた男としては物足りない結果に終わった。
五輪代表で言えば、リオデジャネイロ五輪は世代が上とはいえ、メンバーに選ばれてもおかしくなかったが、結局選出されなかった。
Jで足踏みし、代表でも世界へ飛び出して行くチャンスを掴みきれない。そのポテンシャルを考えれば、じれったいほどに覚醒できない時期が続いている印象が強かった。
なぜ態度、プレーが変わったのか?
だが、今シーズンの彼はひと味違って見える。
プロ4年目にして初のJ1開幕スタメン。その後の3試合こそスタメンから外れたが、第8節の浦和レッズ戦からは再びスタメンの座を維持している。
今季ここまで重ねたゴールは7ゴール。傍から見ていても目の色が変わった印象があり、何より獰猛なストライカー然とした雰囲気は大いなる変身を感じさせてくれた。
いったい彼に何があったのか――。
素直にその疑問を北川にぶつけてみると、ピンと背筋を伸ばした姿勢で、ハキハキとした口調で答えてくれた。
「責任感が自分を奮い立たせている部分は少なからずあると思いますね……『チームを引っ張って行くんだ』、『俺がやらないと』という気持ちが結果に繋がっているのだと。
今季2桁ゴールに到達することができれば、その先の成長が待っているはずですし」
では、なぜここに来て「責任感」が芽生えたのか?