“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
独善的なFWが大人になった訳――。
清水・北川航也、カタールW杯の夢。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/08/15 07:00
フィジカルの強さ、プレーのスピード、そして類まれなテクニック……あとは結果が待たれるだけの北川航也。
「あそこまでしか戦えなかったんだ」
「日本代表の戦いぶりを見て、『あそこまで戦えたんだ』と思ったのと同時に、『あそこまでしか戦えなかったんだ』と感じたんです。
でも、自分のレベルはまだ到底あそこまで到達していないので、もっと死にものぐるいでやらないといけないということになりますよね。
日本代表の試合を観ている時に、自分がカタールのピッチに立って君が代を歌っている姿を想像しただけで……鳥肌が立ったんですよ。
カタールW杯で活躍したい。そのためにはもっと貪欲にゴールに向かって、エスパルスを勝利に導くことを積み重ねないといけないと感じました」
はっきりとした自分の将来のイメージと、明確な目標が生まれた、ということだ。
「ロシアW杯はスピードに衝撃を受けた」
「ロシアW杯では、プレーのスピードの部分で衝撃を受けました。
各国の一流選手は、判断のスピードだけではなくて、単純にワンプレーごとの物理的なスピードが速い。自分もどちらかと言うとそれを武器にしているので、ここをもっと速くするには、どういうトレーニングをすべきか、どういうボールの置き方をした方が良いか、ボールタッチをどうした方が良いかを考えながら観ていました。
目についた選手はムバッペ、グリーズマン、アザール、コウチーニョあたりですね。チームが苦しいときに、確実に1人で1人、2人くらいならかわしてボールを運べたら、チームとしても凄く助かるのが分かりました。
彼らはとにかくすべてのプレースピードが凄くて……相手を背負いながらも、1つのターンで相手を置き去りにできるし、2枚目のカバーが入ってきても一瞬でかわせる。
それでいてペナルティーエリア内の十何メートルの四角の中でも瞬間的にトップスピードが出せる。あのスピードがあれば、相手も思わず足が出てPKがもらえるかもしれない。
ペナルティーエリア内であのスピードが出せれば、『何か』が起こる――目指すべきところ、意識すべきところはあのレベルだと思ったんです」