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泥臭い香川真司こそ代表の原点だ。
長友、高徳、岡崎も一致する覚悟。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byGetty Images

posted2018/06/15 17:30

泥臭い香川真司こそ代表の原点だ。長友、高徳、岡崎も一致する覚悟。<Number Web> photograph by Getty Images

香川が前線で労をいとわぬ守備を見せたことがチーム全体にも波及した。

起点となった昌子も巻き込んで喜び合う。

 先制点を許して迎えた後半、香川からのパスを受けた乾のゴールで同点に追いつく。その瞬間、ベンチにいる選手たちの歓喜が爆発する。香川へロングパスを送った昌子源のもとに酒井高徳が駆け寄り、お互いをねぎらうような様子で抱き合い喜びを分かち合ったシーンが印象的だった。

「僕がパスを出した瞬間には、真司くんと乾くんとが同じ絵を描けていたんだと思う」と、昌子は攻撃陣の連係を称える。そして、試合へ挑むときの想いを語った。

「メディアで控え組という書かれ方をして、見返してやろうというような気持ちも当然あったけど、それ以上に、みんな、とにかく『まずは勝とう』という意気込みのほうが強かった」

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 ガーナ戦、スイス戦とほぼ同じメンバーで戦ったあと、最後の親善試合に西野朗監督は先発メンバーを10人入れ替えて挑んだ。2試合に先発した選手とそうでない選手とのコンディションを合わせるという調整の意味合いもあっただろうが、「すべての選手を見てみたい」と指揮官は、チャンスを与えたのだった。

 それは出場機会の少なかった選手のアピールの場にもなったが、煮詰まっていたチームへの起爆剤にもなった。もちろん勝利という結果が出たからこそではあるが。

酒井高徳が分析したチーム状況。

 酒井高の分析が的確にチーム状況を示していた。

「スイス戦を終えて、うまく行っていないからこそ、試合に出ている選手、出ていない選手にかかわらず、いろいろと話す機会は増えて、雰囲気は悪いものではなかった。でも、代表として戦術云々じゃなく、少しでも前へ行く気持ちだったり、球際へ行く気持ちだったりというのが、戦術やどういう形にしなくちゃという思いが先行しているなかで、薄れていた部分でもあったと思う。

 戦術は非常に大事なことですけれど、戦術の枠からはみ出るのも当然必要なこと。相手もいて、状況も変わってくる。そういうなかで、こう決まっているから動かないじゃなくて、『行ける』と思った選手が行ったときに、みんなが尊重して動くことも大事。

 自己発信的な、前線の選手が発信したシグナルみたいなものに、瞬時にアンテナを張って反応するというのは、攻守において非常に重要なこと。それがよりチームの連係を深めることだと思う。そういう試合をできたのかなと思っています。

 前が行きたいと思ったときに、後ろは多少つらくても行く。カウンターになり後ろが戻ったら、前も一生懸命戻ってくる。そういうお互いがお互いを助け合うというのを感じられた試合だった。ひとりになる状態は少なかったし、みんなが一瞬にして同じ絵を描けたというのが非常に大事だったと思う」

【次ページ】 これがコロンビアだったらと思うと……。

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