オシムからのW杯直前メッセージ。
「君たちはサッカーに何を求めるのか？」

　イビチャ・オシムは今、オーストリアのグラーツの自宅に滞在している。テレビ回線の不調から、時々試合が見られなくなるなどというトラブルに見舞われながらも、ワールドカップの開始を楽しみに待っていたという。

　本連載『ワインとシエスタとフットボールと』では、ワールドカップ期間中にオシムとトルシエの連続インタビューを掲載する。オシムの第1回となる今回は、オシムが今の日本代表と日本サッカーをどう見ているか？　という問い掛けから始めたいと思う。

――元気ですか？

「ああ、私は元気だが君はどうだ？」

――まあまあです。ワールドカップが近づきましたが、不安ばかりが募っています（笑）。

「君らの方が選手よりいい準備をしているのではないか。とにかく万全を期することだ。フィジカル面できつくなるから。ロシアは国土が広大だから移動が大変だ。プライベートジェットを手配した方がいいかも知れない。もしもウラジオストクの後でモスクワ開催の試合があったら、移動手段を真剣に考えねばならない（笑）」

――ウラジオストクは会場ではありませんから良かった（笑）。もしもそうならば、日本からはとても行きやすいのですが。

「今はうまくいっていない、ということなんだね」

「今の日本代表はどうなっているのか……テレビでは（Jリーグを）何試合か見た。プレー自体は悪くはなかった。いいサッカーをしていて、以前よりずっとエレガントになっていると感じたが」

――Jリーグの首位は広島です。とてもアグレッシブなプレーをしています。

「それはいい」

――しかし日本代表は大変なことに……。

「あのことは君たちの問題であって、直接的には私の責任ではないだろう（笑）」

――そうなのですが（笑）。

「あなた方は監督の交代を選び、新しい監督を見いだした。そこで問題に直面していると言うのなら……今はうまくいっていない、ということなんだね」

――たしかにヴァッイド（・ハリルホジッチ）は、いろいろデリケートな問題がありましたので……。

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