サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
泥臭い香川真司こそ代表の原点だ。
長友、高徳、岡崎も一致する覚悟。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2018/06/15 17:30
香川が前線で労をいとわぬ守備を見せたことがチーム全体にも波及した。
積極的なマインドを持ち続けないと。
ただ同時に、香川はコロンビア戦へ向けてこうも言っている。
「うまくいかないのは当たり前だから。別にうまくいかない時間帯、前半の45分間でうまくいかなかったら、それはそれでいいですし。ただ、それにイライラしたり、ネガティブになる必要は全くない。
やれなかったら、やれなかった理由を試合のなかから探りながら、変えていく必要があるけれど、それも十分に起こりえるというのは頭にいれておくべき。それでも、僕たちは積極的なマインドを持ち続けないとなかなか難しい。僕自身は常に勝つ、そういう気持ちを持ち続けて試合に挑みたい」
優位とは言えない立場。日本はコロンビアに比べれば、弱者と言っても過言ではないかもしれない。ここから始まる戦術分析を踏まえた準備のなかでは、「とうていかなわないんじゃないか」という気持ちになるかもしれない。
でもだからこそ、ポジティブな前のめりな気持ち、志が必要なのだ。それは4年前の「自分たちの攻撃サッカーで世界を驚かせる」というものとは別のマインドだろうと感じる。
あのときなめた辛酸が彼らをよりリアリストにし、冷静でありながらも、勝利にこだわるしぶとさを身に着けさせたと信じたい。
飲み込まれる前に噛みつく激しさを。
労を惜しまず、味方のため、チームのために走る。
献身性や犠牲心は、日本人選手の武器だ。しかし、敵に対して受け身に立てば、効果も発揮できない。十分に恐れるべき相手だからこそ、飲み込まれる前に噛みつくような激しさが必要なのだ。
そんな日本代表の原点を再確認できたのがパラグアイ戦だった。
「ときどき、サッカーというのは本当に、予期もしないところのスイッチでチームが激変すると思うので、そういった可能性を少しでも引き出してくれた結果かなと思う」
酒井高の言葉通り、このスイッチが思わぬ変化をもたらしてくれるのか? ここからは武器を効果的に発揮するための、緻密な作業が残されている。