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鹿島はACLもリーグも優勝を目指す。
上海相手に発揮した、勝つ方法論。
posted2018/05/17 11:50
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
「選手の顔、眼を見て、いけるという確信を持った。守り切るというメッセージは(ディフェンダーを投入した)交代選手でも伝わっていたはず。自信を持って選手を見ていました」
試合後の公式会見。外国人記者の「ラスト10分をどういう戦い方をしようとしたのか? そして、どういう気持ちで試合をベンチから見ていたのか?」という質問に大岩剛監督が答えた。
5月16日、ACLラウンド16セカンドレグ。上海上港対鹿島アントラーズ。第1戦は鹿島が3-1で勝利し、1点差の敗戦ならば無条件で勝ちぬけが決まる状況だった。
1-1で迎えた後半は、鹿島が守勢に回る時間が長く続いた。81分に際どい判定でのPKが決められ、1-2。
延長に持ち込む3点目、勝利のための4点目を奪おうと上海上港の圧力が一層増した。そんな残り10分間について、記者は聞いたのだった。
試合は監督の確信通りに1-2で終了し、2戦合計4-3で鹿島の準々決勝進出が決まった。鬼門と言われ続けたラウンド16の壁を突破した。
昨季は最終節で優勝を逃し、今季も。
振り返れば、この4カ月間の戦いは苦しかった。リーグ戦13試合、ACLを8試合。大岩監督は忍耐を試される時間だったに違いない。選手たちを信じ、自身の采配を信じた。
鹿島は昨年のJリーグで、あと1勝すれば優勝という状況だった。しかし勝ちきれず、最終節に首位の座を奪われた。
今季は安西幸輝、犬飼智也など若い即戦力と、ドイツから戻ってきた内田篤人という補強を経て開幕を迎えた。しかし4月末の第11節終了まで、3勝3分5敗で15位という低迷ぶりだった。
「自分の形を作り切れていない」
川崎に1-4と大敗したあと、内田がそう語るほどチーム状況は困難を極めていた。けが人が続出し、10名近い選手が離脱する時期もあった。
三竿健斗、鈴木優磨、小田逸稀、そして安西、犬飼など、出場機会を得て成長を見せる若手選手もいたものの、結果にはなかなか結びつかなかった。