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鹿島はACLもリーグも優勝を目指す。
上海相手に発揮した、勝つ方法論。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2018/05/17 11:50
フッキ相手にも臆さず止めに行く昌子源。どうやって攻め、守るのかという意志疎通がなされた鹿島は強い。
「何かを取り戻した」気配はあった。
試合の入り方の悪さ、簡単にゴールを破られることだけでなく、得点も決め切れない。課題が山積する。
誰もが自分ができる限りの力を尽くそうと奮闘しているにもかかわらず、鹿島の哲学でもある「勝利へのこだわり」を表現できない。
そんな状況でも、中3日、中2日という日程で試合は訪れる。コンディション調整にも時間を費やさねばならない。選手たちは会話を重ねることで、トレーニングの不足分を補う。
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第11節、横浜に0-3で敗れたあと、大岩監督は、守備組織の立て直しが急務だと話した。続く12節長崎に勝利し、第13節の浦和戦は1-0で逃げ切る。押し込まれながらも冷静にゲームをコントロールする実に鹿島らしい戦いで、今季初の連勝を手にした。
復帰したけが人の存在も大きかったが、守備の安定感は鹿島が「何かを取り戻した」ことを示しているように感じた。
好転の兆しが見えたなかでのACLベスト16突破だったのだ。
「90分使って勝つ」という発想。
ゲームキャプテンの遠藤康は、チームの変化をこう話す。
「けが人が戻ってきたのもそうですけど、試合を通しての落ち着きとか、行くときと行かないときの使い分けが上手くできるようになった。攻撃と守備の両面で。
『90分間使って、勝つ』というのが徐々にチームに浸透してきている。シーズンの最初は、去年優勝できなかったこともあって、『勝たないと』というプレッシャーでみんなが頑張りすぎるところがあったと思う。
今は、その頑張りが噛み合うようになった。そういう意味ではいい感じになっている」
当初はディフェンスラインを高く保つ守備を続けていたが、あっけなくやられるシーンが続いた。そこで「ディフェンスラインを下げて守る」ことで逃げ切れるようになり、チームに安定感が生まれた。
植田直通も「(ディフェンスラインを)下げて守ること、上げて守ること、状況に応じていろんな形があってもいい」と語っている。
攻撃面では、効果的にサイドを使い、後ろの選手がボールホルダーを追い越していく。
「積極的に前から行く」という指揮官の描く絵が、少しずつ試合で表現できるようになってきた。それが上海上港相手のファーストレグでも、3得点に繋がったのだろう。