JリーグPRESSBACK NUMBER
Jリーグのビデオ判定はどうなる?
試合が止まる時間は1分以下だが……。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/26 11:00
審判は孤独な仕事だ。正しくて当然、間違えれば猛烈なバッシングを受ける。VARが正しい判定を助けるのならば、その導入は必然だ。
実は試合を止めている時間は長くない。
批判の根拠はいくつかある。
まずは、従来のサッカーのスピード感を阻害しているというもの。
しかし、これについてはサッカーのルール制定をしているIFAB(国際サッカー評議会)の統計によると、調査した972試合のなかで、VARによってプレー映像を確認したのが3試合に1試合の割合。また、1試合あたりの映像確認に要する平均は55秒だという。
ちなみに昨シーズンのCLとELの準決勝以降の計10試合で、プレーの流れがとまった時間は以下のようなものだ。
直接FK 8分51秒
スローイン 7分2秒
ゴールキック 5分46秒
コーナーキック 3分57秒
選手交代 2分57秒
誤審は目立つが、正しい判定は目立たない。
これらを比較すると、VARが試合の流れを著しく損ねるというのはあてはまらない。選手や観客にとってVARが試合の流れを阻害していると感じる理由は、大きくわけて2つあるはずだ。
1つ目が、レビューは1試合で何度も起こる事態ではないからだ。たとえば、選手交代ならば1試合で最大6回。1回あたり平均30秒弱の所要時間なので、たまに起こる平均55秒ほどの行為が非常に長く感じられる。
2つ目が、従来のサッカーの試合の流れに慣れているために、従来なかった形で試合がとまると、それを実際以上に長く感じるからだろう。
また、気になるのはVARの採用によって、誤審がどのくらい減るのかについてだ。IFABの調査によれば、以下のようになる。
VARなしで正しい判定がされる確率 93%
VARを導入して正しい判定がされる確率 98.8%
確かに数字はあがっている。しかし、審判の判定に関する難しいところは、正しい判定についてはほとんど触れられないことだ。