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ヴィッセルの大型新人・郷家友太。
高校生が「プロ意識」を掴むまで。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byTakahito Ando

posted2018/04/08 08:00

ヴィッセルの大型新人・郷家友太。高校生が「プロ意識」を掴むまで。<Number Web> photograph by Takahito Ando

攻守ともにルーキーらしからぬ活躍を見せている郷家。あとはゴールを決めるだけだ!

停滞していた攻撃を一気に活性化させる力。

 まだゴールこそ挙げていないが、郷家は右サイドハーフの位置からスルスルとゴール前のスペースに走り込み、クロスをヘッドで合わせたり、パスを受けてシュートを放ったりと、決定的なシーンを何度も作り出している。

 柏戦では、リズムが掴めず攻撃に閉塞感が漂っていたチームにおいて、ゴール前のこぼれ球にすぐさま反応して、見事な反転ボレーシュートまで放っている。

 後半にも左サイドを突破したMF田中順也の折り返しを受けると、冷静にフリーのMF藤田直之に繋ぎチャンスを演出。

 試合を通してミスが少なく、常に要所に絡んでくるプレーを見て、吉田監督が信頼を置くのも頷ける。

「俺、この中で本当にやっていけるのかな?」

 高卒ルーキーながら、堂々たるプレーを見せ続けている郷家。

 彼は今、「何もかもが初めて」という非常に貴重な経験を積み重ねている途中でもある。

「正直言って、チームの始動日から数日はレベルが高過ぎて『俺、この中で本当にやっていけるのかな?』と感じることが多かったんです。パススピードが全然違って、ただのボール回しでもスピードと精度をあげないとついて行けなくて、怖さすら感じましたから……」

 誰もが通る、プロのレベルの高さを突きつけられる瞬間。

 この壁に対する、郷家の打開策は独特だった。

「そもそもプレーレベルの高さもあったのですが、それ以上に先輩たちに物凄く気を使ってしまって、プレーが萎縮していたんです。

 僕はドリブルで打開するタイプではなくて、パスで周りを生かしながら、自分も生かしてもらうプレースタイル。それは周りの選手の性格や特長を僕が理解するだけでなく、自分の性格と特長を周囲に分かってもらう必要もあるんです。

 なので、キャンプのときから先輩達に積極的に話を聞きにいきました。キャンプが終わってからも先輩からのご飯の誘いは喜んでついていって、そこで練習場ではできないサッカー談義をしたんですよ」

【次ページ】 那須「若いうちは自分のことだけに集中しろ」

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