“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ヴィッセルの大型新人・郷家友太。
高校生が「プロ意識」を掴むまで。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/04/08 08:00
攻守ともにルーキーらしからぬ活躍を見せている郷家。あとはゴールを決めるだけだ!
「試合に出られない自分」を理解できなかった郷家。
プロになって僅か2、3カ月の彼がいきなり「プロフェッショナル」というものの本質を経験し、理解しようとしている――。
「でも今、僕は本当に良い経験をさせてもらっていると思います。良い面も悪い面も1つひとつが新鮮で、何と言うか……『弱い自分』にも気付くことができたし、今はすべてが自分の財産になっていると思います」
私は「弱い自分とはどういうところ?」と聞いてみた。すると彼はゆっくりとこう口を開いた。
「1年目は試合に出られるとは思ってなくて、我慢の時期が続くだろうなと思っていました。でも吉田監督のおかげでチャンスをもらって、開幕戦でベンチに入った。でも……試合には出られなかった。その時に急に『試合に出たい』と強く思うようになったんです。
ルヴァンでは出ることができましたが、第2節の清水戦、第3節の仙台戦でベンチ外だったときに、自分でもびっくりするくらい落ち込んでしまって。その時に自分のこれまでを振り返ってみたら……小、中、高校とずっと試合に出られないときなんてほぼなくて、試合に出られないもどかしさをあまり経験していないなと。『試合に出ることが当たり前』になっていた自分に気付いたんです」
増山はドリブル。では自分は何を武器に?
清水戦と仙台戦では同じポジションに立つ増山朝陽などのプレーを食い入るように見つめた。
「仙台戦は朝陽くんを観て、やっぱりゴールに向かって行かないといけないなと思った。朝陽くんは自分でドリブルを仕掛けてゴール前に入れる選手。僕はどちらかというと自分でボールを持って行くことはあまりない。
どうやったら朝陽くんのようなドリブラーと張れるプレーができるのか……とずっと考えていました。そして、僕は『他の選手と連係することで入っていこう』と思ったんです。うまく人を生かせば相手DFの見る方向も変わって、自分がフリーになったり、その時間を生かして前に出て行くことができるはずなんで」