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なぜ選手達に「気迫」が見えない?
ハリルJに日本サッカーの大前提を問う。
posted2018/03/28 11:35
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
日本のサッカーは、1+1を2でいいと考えてきたのだろうか。
3月27日に行なわれたウクライナ戦は、23日のマリ戦に比べればゲームになっていた。しかし、反省材料ばかりだったマリ戦を受けて、トレーニングを積んできたのだ。試合内容が上向くのは当然である。試合後のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「もちろん満足はしていないが、悪くないものもたくさん見られた」と話したが、改善が見受けられるのは想定の範囲内だ。何よりも、1-2で敗れたことを忘れてはならない。
試合後の選手たちからは、「個々のレベルアップの重要性」が多く聞かれた。もちろん、そのとおりである。コノプリャンカの独力による突破から生まれたウクライナの2点目は、彼我の力関係を分かりやすく映し出したものであり、W杯でも起こりうる失点パターンのひとつと言っていい。
個の力で劣ることは、世界戦略の大前提では!?
ふたつの疑問がある。
「個々のレベルアップ」が重要なのは正しい。しかし、W杯の初戦まで3カ月を切っている。グループリーグで対戦するコロンビア、セネガル、ポーランドに対抗できるだけの個の力を、このわずかな時間で身につけることができるのか?
現実的に考えれば、無理と言わざるをえない。
もうひとつは、そもそも世界のトップ・オブ・トップに個の力で劣ることは、日本の世界戦略の大前提ではなかったのか? ということだ。
今回の遠征には、DFラインでは吉田麻也と酒井宏樹を、中盤から前線では香川真司、清武弘嗣、井手口陽介、岡崎慎司、浅野拓磨らを招集できなかった。彼らなら「個」でやられなかったとか、「個」で打ち破ることのできた局面は、あったかもしれない。クラブで好調な乾貴士が招集されていれば、相手の守備ブロックをもっと揺さぶることができたのでは、との予測も立つ。
そうは言っても、日本サッカーの大前提は違ったはずだ。