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酒井高徳はこの現実から逃げない。
「僕はできるんだというのを」
posted2018/03/29 07:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
「すごく強い気持ちで今日の試合に挑もうかなと思ったんですけど、残念ながら結果がというところで、自分の思ったようなアピールはできなかった。今日の出来じゃあ、メンバーに入るのも厳しいかなと思う」
3月27日のウクライナ戦後、酒井高徳はそう試合を振り返った。
当初、本合宿のメンバーには選ばれていなかった。アルベルト・ザッケローニ元監督体制では、試合出場機会は少なかったものの両サイドバックでの起用が可能という特長を評価され、現体制でも長く代表メンバーの一員として選出されていただけに、本大会を前にしたこの時期での選外に落胆が大きかったのではないかと想像する。
「気持ちが落ちているんだろうなと気づかいをしてもらえるのは、ありがたい。でも、僕自身はむしろ、外れたというのが、自分にとってはいいタイミングだったと受け止めていた。
クラブでも自分自身のパフォーマンスがよくないのは理解していたし、代表に還元できていないのも理解していた。今回外れたことで、また代表に戻ってこられるように、ここからハンブルクでしっかりやるだけだというふうに切り替えていた。新しい気持ちで追求していこうというサインになった。だから、落ち込んでもいなかった」
「ここで何もできなければ……」
しかし、遠藤航に続き(遠藤は合宿に帯同)、酒井宏樹が負傷のため招集辞退となり、酒井高徳は急遽、追加招集されることになった。
「今回ここで何もできなければ、もうないんだろうという気持ちで合宿に参加した」
3月23日のマリ戦では途中出場したものの、「自分が思い描いていた入りをしようとしたけど、できたという感じではなかったと思います」と、アピールに繋がるプレーができなかったと語っている。
毎シーズン、残留争いを続けるハンブルガーSVのキャプテンとして奮闘する酒井。
だが、加入以来ずっと降格危機と戦っている現状の責任は、チームの一員の自分自身にも一端がある。
残留へ向けて全力を尽くす姿勢で戦っていることは間違いない。しかし、そういう日々を送ることで、成長の機会を失っているのかもしれない。