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なぜ選手達に「気迫」が見えない?
ハリルJに日本サッカーの大前提を問う。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2018/03/28 11:35
最終予選サウジアラビア戦以来、約半年ぶりに先発した本田と柴崎だが、本領を発揮するには至らなかった。
まだ中島翔哉を「救世主」と断定はできない。
ただ、中島を〈救世主〉と見なすのは早計だ。
彼が目に見える活躍をしたのは、マリとウクライナが5人の選手交代をした時間帯だった。相手はフレッシュだったと考えることはできるが、どちらのチームも国際経験の少ない選手を投入している。チームとして過ごしてきた時間が短いぶんだけ、細かな連携が磨かれていなかったと考えることもできる。
どちらにしても、3人までしか交代できない公式戦とは状況が異なる。相手の熱量も公式戦と違えば、日本の選手に対する情報量も決して多くないはずだ。日本を分析してくる相手に、中島という個が通用すると考えるのは楽観的だ。
選手たちの表情に高揚感が浮かんでいない。
ウクライナ戦を終えたチームが次に集まるのは、5月下旬開始予定のトレーニングキャンプだ。残された強化期間は3週間ほどになった。
ハリルホジッチ監督は「その期間に攻撃も守備も(課題を)改善できる」と話すが、個人も組織もまったくと言っていいほど輝けない現状を、タテに速いサッカーのままで改善できるとは考えにくい。
積み残された課題は、あまりにも多い。
何よりも残念なのは、4年に1度の舞台を目前にして、選手たちの表情に高揚感が浮かんでいないことだ。
グループリーグで対戦する3カ国は、日本よりはっきりと格上である。しかし、勝てる可能性がゼロではない。それなのに、「やってやろう」という気概も気迫も、胸の奥深くに閉じ込められている。
それが、何より歯痒くて悔しい。