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なぜ選手達に「気迫」が見えない?
ハリルJに日本サッカーの大前提を問う。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2018/03/28 11:35
最終予選サウジアラビア戦以来、約半年ぶりに先発した本田と柴崎だが、本領を発揮するには至らなかった。
個をつないだ「組織」を成熟させるはずでは?
1対1で勝つのは難しいから、2対1や3対2の局面を作る。数的優位を生み出したり、連動性を高めたり、距離感良くプレーしたりすることで個の特徴を引き立たせる。
個を高度につなぎ合わせる「組織」を成熟させることが、世界で戦う日本には必要だったはずである。
1+1を単純に2でよしとするのではなく、組織を磨くことで「2プラスα」へ持っていくことが、日本サッカーの方向性ではなかったのだろうか。世界のサッカーが洗練度を高め、個に寄りかかるチームはもはや少数に過ぎない。だからこそ、日本は個と組織を切り離してはいけないはずである。
日本の攻撃は「点」から「線」にならなかった。
3トップの右ウイングで先発した本田圭佑は、64分のプレータイムで違いを見せられなかった。シュートもない。ウクライナ戦での復権はならなかった。
本田自身が相手のマークを剥がせなかったのは事実だ。ただ、ゴール前へ飛び込んでフィニッシャーになれるクロスが、果たして何本あっただろう。カットインから得意の左足を振り抜けるためのサポートを、どれだけ受けることができていただろう。本田という個が引き立つ連係を見つけるのは、率直に言って難しかった。
前半21分に生まれたウクライナの先制点は、相手CBのシュートが植田直通に当たって軌道が変わり、GK川島永嗣からセーブのチャンスを奪った。
それにしても、不運と片づけるには抵抗がある。前半の日本が相手ゴールへ迫ったのは4回だけで、基本的にはパスの出し手と受け手による「点」のつながりだった。
ひるがえってウクライナは、個人が特徴を生かしつつ、グループとしての機能性も持ち合わせていた。点ではなく「線」である。