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なぜ選手達に「気迫」が見えない?
ハリルJに日本サッカーの大前提を問う。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2018/03/28 11:35
最終予選サウジアラビア戦以来、約半年ぶりに先発した本田と柴崎だが、本領を発揮するには至らなかった。
ウクライナには3点目、4点目の機会があった。
英雄シェフチェンコが統べる東欧のダークホースが、驚くようなパスワークを見せたわけではない。サッカーの原理原則に基づいたプレーを、シンプルに積み重ねていっただけである。W杯に出場できない国にベーシックな部分で見劣りしたことが、1-2というスコア以上に重くのしかかる。
試合後のハリルホジッチ監督は、ゲームの最終盤にいくつかのチャンスを作ったことを前向きにとらえた。それ自体を否定はしない。
だが一方で、ウクライナに3点目、4点目を奪われる危険にさらされたことを、見逃してはならないだろう。
日本の右サイドを崩されて際どいクロスがゴール前を横切ったり、自陣奥深くのスローインの流れでボールを失ったり、という場面が70分から85分までに何度かあった。チャンスの数でもその可能性でもウクライナを上回ったわけではなかった、ということははっきりさせておきたい。
セットプレーで得点できたことは収穫か。
ポジティブな材料をあげれば、リスタートを活用できたことだろう。
前半41分に槙野智章が記録したヘディングによるゴールは、左サイドのFKを起点とする。キッカーを務めたのは、この日先発した柴崎岳だった。精度の高いキッカーのもとで練度を上げていけば、リスタートはW杯でも得点機に成りえる。
直接FKからもゴールに迫った。
マリ戦に続いて後半途中から出場した中島翔哉の仕掛けが、終了間際にペナルティアーク付近で相手のファウルを誘った。
柴崎も本田もピッチをあとにしていたこともあり、国際Aマッチ2試合目の23歳は自らボールをセットした。右足の一撃は相手GKに弾かれ、詰めていた久保裕也に当たってゴールラインを割ったが、ワクを捕らえた直接FKがCKへつながることは少なくない。
相手のファウルを誘う仕掛けは、それだけに重要である。個で切り込んでいく中島は、今回のテストで唯一と言ってもいい収穫だろう。