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悩める日本代表にPDCAサイクルを。
原口が、大迫が、本田が鳴らす警鐘。
posted2018/03/27 11:30
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Getty Images
PDCAサイクル――。
PLAN(計画)、DO(行動、実践)、CHECK(検証、課題修正)、ACT(再実践)の頭文字を取ったこの言葉は、今やビジネス界では当たり前のように使われる。人が物事を進める上で有効な作業を順序化したもので、現代を生きる多くの人間が時に意識的に、時に無意識的にこれを巡らせ行動している。
このサイクル、はたして今のハリルジャパンは実行できているだろうか。現状では、うまく回せていない気がしてならないのである。
3月23日に行われたマリ戦は、結果も内容も残念だった。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、マリ相手に高い位置からプレッシャーをかけていく戦い方を指示した。身体能力の高いアフリカ人相手に、チームの旗幟になってきた“デュエル”でどこまで対抗できるか。システムも中盤は相手の布陣に選手を当てはめるような並びにして、日本は良い形でボールを奪い、そこから素早い攻撃を展開する目論見だった。
「変な話、後半は引いても」(原口)
序盤は悪くなかった。ただ、徐々にリズムを失い、後半に入ると相手に陣形を引き伸ばされては、各エリアで身体能力の差が顕著に現れた。
「相手に剥がされて陣形がずれていき、苦しい戦いを強いられた」
主将の長谷部誠が、起きていた事象を端的に表現している。
ベンチでこの状況を歯がゆく感じていた選手がいた。ハリルジャパンで献身的なアタッカーの立ち位置を築いた、原口元気だ。前にプレスに出る時も、後方にプレスバックする時も、常に高い出力でプレーできるサイドプレーヤーだ。
「変な話、後半は引いて守っても良かったかなと。あまりにも前に前に行き過ぎていたので、メリハリはつけたいと思っていました」
後半を迎えるにあたっても、指揮官の指示は大きく変わらなかった。前からのプレスを強める。しかし互角の体格やプレー強度ではない相手に、日本は押し込まれていく。チーム全体で無理にでも前から奪いに行ってはかわされ、ボールを持っても簡単に縦方向に蹴っては相手に渡してしまうなど、大味さが目立った。