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「安い失点」をなくして浦和が快走。
注目は西川周作と“奪われた瞬間”。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byShingo Ito/AFLO SPORT
posted2014/07/26 10:30
広島から浦和に加入した西川周作の影響力は、守備だけではなく攻撃にまで及んでいる。J1の連続無失点記録はどこまで継続されるのだろうか。
西川周作がもたらした「安定感」以上のもの。
昨年と今年の違い。目に見えて明確なのは守護神・西川周作の存在だろう。
「守備陣で最少失点の目標を掲げて、それができれば必ずチームは一番上にいると考えています」
と加入会見で力強く宣言した西川。彼の加入が多大な貢献を果たしているのは、連続試合無失点記録が始まった横浜FM戦後、ミシャが語ったコメントからも推察できる。
「ヨーロッパのビッグクラブであっても必ず相手に決定機を作られますが、そこをGKが防ぐことはよくあることですし、そのプレーによってチームに安心感を与えます。西川が少ないピンチの中でも必ずいい仕事をすることで、チームはバタバタせずに落ち着いてプレーできています。彼がチームに安定感を与えていると思います」
西川が浦和にもたらしたもの。それは確実なセービング能力、そして最後方からのビルドアップだ。特にフィールドプレーヤー顔負けの足元の技術とキック精度は、浦和に対して有効な対策だった、前線からのプレッシングを無力化している。その結果、相手はパスの出所を絞りきれず、浦和は危険な形でのボールロストとカウンターを浴びるケースが減少している。余裕を持ってポゼッションすることで、自分たちの攻撃チャンスを作ると同時に、ピンチの芽も摘み取ってしまえているのだ。
「攻撃的なサッカーを続けていると思っている」
浦和の好循環は守備面だけでない。得点数こそ昨季より少ないものの、攻撃面にも及んでいる。
今季の第14節・C大阪戦後の会見で、ミシャは冗談めかしながらもこう自負した。
「イタリアのチームのようなスコアが続いていますけど、私は攻撃的なサッカーを続けていると思っています」
ピッチを俯瞰して見ていると、最近の浦和はポゼッション時に“パスをつなげるか、奪われそうか”をチーム全体で予見し、しっかりと準備できている印象を受ける。