Jをめぐる冒険BACK NUMBER
7月全勝の川崎Fが確立した思想。
“繋ぐ”ではなく“崩す”から考える。
posted2014/08/01 10:30
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
相手の嫌がることをしているはずなのに、それが歓迎されているのだとしたら、仕掛けている側はたまったものではないだろう。
だが実際、現在の川崎フロンターレの選手たちは、激しくプレスに来られることを歓迎している。
「ガツガツ来てくれたほうがいいですね」
17節のアルビレックス新潟戦のあと、はにかみながらそう言ったのは、中村憲剛とボランチを組む大島僚太だ。今やチームに欠かせない主軸となった21歳の技巧派は、笑顔で続ける。
「そのほうが相手はバテやすくなりますから」
その言葉の背景にあるのは「簡単にボールを失わない」という、自分たちの技術や視野に対する絶対的な自信だ。
「この暑さのなかでの連戦ですから、キツイことはキツイんですけど、相手のほうが絶対に苦しいだろうなって思いながらプレーしています」
再開後、天皇杯を含めて5連勝。
ワールドカップが終わって再開したJ1リーグで、川崎の好調ぶりが際立っている。
中3日の間隔で行なわれた4連戦にすべて勝利し、天皇杯を含めると5連勝。リーグ戦の順位も3位に浮上し、首位・浦和レッズとの勝点差は3、2位・サガン鳥栖との勝点差は1という好位置に付けている。
興味深いのは、リーグ戦4試合でマークしたゴールがすべて、後半に入って生まれている点だ。ただでさえ、うだるような暑さで体力の消耗が激しい夏場のゲーム。しかも、中3日の4連戦だったのに、なぜいつも後半にスコアを動かせるのか。その理由として挙げられるのが、「主導権を握って相手を押し込む」スタイルの優位性だ。