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「安い失点」をなくして浦和が快走。
注目は西川周作と“奪われた瞬間”。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byShingo Ito/AFLO SPORT
posted2014/07/26 10:30
広島から浦和に加入した西川周作の影響力は、守備だけではなく攻撃にまで及んでいる。J1の連続無失点記録はどこまで継続されるのだろうか。
素早い切り替えが生む、効率的なゴール。
準備態勢が生み出すのは、素早い攻守の切り替え。5月10日の第13節・大宮戦の先制点が典型的だった。
浦和にとって攻撃の合図となる縦パスを入れたものの、出し手と受け手のタイミングが合わずに一度はカットされてしまった。しかし奪われた瞬間、攻撃参加していた槙野智章らが素早く寄せに行き、相手のパスミスを誘う。それを拾った柏木陽介は、大宮守備陣の綻びを見逃さず最終ライン裏へと浮き球パスを送る。それに反応した興梠のシュートで、効率よくゴールを陥れた。
徳島戦の57分にも、西川のロングキックを受けた梅崎司が一度ボールロストしたが、もたついた相手からボールを奪い返して興梠にラストパスを送って追加点を奪っている。このように現在の浦和は攻守両面でやるべき形が共有できている。
上位との対戦が続く夏場が、試金石となる。
良い流れが続いている浦和にとって、ここからの数試合は本当に大事な試合になる。
対戦相手は鹿島、ヴィッセル神戸、川崎フロンターレ、広島とすべて上位。昨シーズンは夏場にコンディションを崩した選手が多く、勝ち点を伸ばせなかった。特に風間八宏監督率いる川崎には同時期のアウェー戦で、0-4と打ちのめされた苦い記憶がある。
攻守のバランスはここ数シーズンで最も安定している。後は、疲労度の大きい酷暑の戦いを乗り切れるかどうかだ。
それが、指揮官、選手ともに目標に掲げる「タイトル獲得」への試金石となる。