WBC 侍ジャパンの道BACK NUMBER
充実のリリーフ陣で3連覇に挑む――。
侍ジャパン、勝利の方程式はコレだ!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2013/03/01 10:31
侍ジャパン、充実のリリーフ陣。写真左から今村猛、森福允彦、大隣憲司、攝津正。連日ブルペンで精力的に投げ込みをこなす。
先発に執着せず、調子の良いリリーフ陣を早めに投入!
現時点では第1ラウンド初戦のブラジル戦は田中将大、2戦目の中国戦は前田健太が先発。これに状態のいい杉内俊哉と能見篤史が、それぞれ1、2戦の“第2先発”として控えることになる。
ただ、先発の柱に期待される田中将大は最後の実戦登板となった23日の豪州戦でも、いまだにメジャー球と格闘しているような状態だった。24日の試合に先発した前田も、肩の不安からくる投げ込み不足で明らかなスタミナ不足を残しての本番となる。
ならば田中、前田という名前にも、第1ラウンドでの球数制限の65球にもこだわらず、早め早めに調子のいいリリーフ陣をどんどん注ぎ込んでいく継投があってもいいはずだ。
リリーフ陣は球数30球未満なら連投もできる。連投したら中1日の休養をとらなければならない規定も、第3戦のキューバ戦は中国戦(3日)から中2日空いた3月6日なので問題はない。
そして調子のいいリリーフ陣をフル稼働させながら、少ない点差を凌いで勝つ。それが打撃不振でも3連覇を目指さなければならない日本の、絶対的な勝ちパターンとなるはずなのだ。
リリーフ陣をどう編成して第2ラウンド、決勝ラウンドを戦うか?
そしてもう一つは今後の第2ラウンド、そしてそこを勝ち上がった後の米国での準決勝、決勝を睨んでいくと、このリリーフ陣を含めた投手陣をいかに臨機応変に編成できるか。それも今後の日本の戦いの命運を握ることになるかもしれない。
極端な言い方をすれば田中と前田の状態が上がらないままならば、“第2先発”候補の杉内、能見や内海哲也を第1先発に回して、リリーフ陣での継投を前提にした投手編成への再考も十分にあるはずだ。
もちろん田中や前田がこれから調子を上げてくれれば、この2人を軸に投手を編成できるのが日本にとっての理想形である。
ただ、その一方でそういう“期待”にかけてチームマネジメントを行っていたら、そうならなかったときに最悪の事態を招きかねないということだ。一番怖いのは、コンディショニングが上がらないのに、二人の実績と名前にこだわりすぎることなのかもしれない。