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りくりゅう「ペアは本当に難しい」世界選手権“涙の優勝”の後に明かした本音…“長い苦労の時間”を経て、三浦・木原が輝きを取り戻すまで
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2025/04/03 17:02
2年ぶりの世界選手権優勝を果たした三浦璃来と木原龍一
りくりゅうが輝くまでの“長い苦労の時間”
今大会は、来年のミラノ・コルティナ五輪の国・地域別出場枠の獲得も懸かっていた。三浦・木原組の成績により日本はまず1枠が確定し、22位でフリーに進めなかった長岡柚奈・森口澄士組との合計順位により、三浦・木原以外のペアが今年9月の五輪予選で2枠目獲得に挑戦する権利も得た。
木原は長岡・森口にエールをおくる。
「ペアはほんとうに難しいスポーツで、1日、2日でうまくいくことはないです。彼らは素晴らしい能力を持っているチームなので、今回はうまくいかなかったかもしれないですけど、必ず明るい未来が来ると思っています。決してあきらめず、一緒に頑張っていけたらと思います」
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この数シーズン、優勝争いをするのが、表彰台に上がるのが当たり前であるように期待される三浦と木原だが、そこに至るまでには長い時間が横たわっている。
そもそもペアが全日本選手権にひと組のみ、あるいは出場者がいなくて不成立だったこともあるくらい層が薄く、2019年の全日本選手権で三浦・木原が初優勝したときも出場は彼らのみであった。国際大会でもペアは、概して苦戦が続いた。
そうした背景の中で、木原はパートナーを組み替えつつペアで戦い続けた。三浦も同様だ。苦労の長い時間があって、今日がある。エールにはその実感も込められているようだった。
「私たちらしいスタイルで」
こうして世界のトップに立つ三浦と木原が見据えるのは4年に一度の大舞台にほかならない。でも今シーズン、たどり着いた境地があるから、構えることはない。
「来シーズンは初戦から楽しんでいく、私たちらしいスタイルを出していければと思います」(木原)
自分たちの持ち味を見失わず進んでいくことを誓い、オリンピックへ向けて歩んでいく。

