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格闘技PRESSBACK NUMBER
「那須川天心がナーバスになっている…」モロニー戦でカメラマンが察知した“異変”…思い出した“あの激闘”「天心の勝ちはない。よくて引き分けだ」
text by

長尾迪Susumu Nagao
photograph bySusumu Nagao
posted2025/03/05 17:01

前WBO世界バンタム級王者のジェイソン・モロニーを判定3-0で下し、那須川天心はプロボクシング戦績を6戦6勝とした
「天心の勝ちはない。よくて引き分けだ」
序盤はパンチを中心に攻める天心ペースで試合が進んだ。だが、顔面へのクリーンヒットがあってもロッタンは効いた様子を見せない。それどころか、両手を上げて「もっと打ってこい」と挑発さえ繰り出した。
意識をパンチに集中させたタイミングで、天心の左ハイキックが首筋に決まる。乾いた衝撃音とともに、ロッタンの頭部から汗が飛び散った。
「勝負ありだ、KOで決まった」
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そう確信してシャッターを押し続けるが、ロッタンの身体は地面に根が生えた大木のように揺るがない。
「この男は痛みを感じないのか? どうやったら倒すことができるんだ?」
私だけでなく、天心や彼のセコンド、観客も含めて、会場にいた人は皆同じように感じていたのではないだろうか。
ロッタンは何もなかったかのようにローやミドルを駆使してプレッシャーを強め、天心をロープに詰める場面が多くなってきた。天心は自らの攻撃で拳を痛めたこともあり、手数が減る。4ラウンドになると形勢は完全に逆転し、ロッタンが圧力をかけ続ける。5ラウンドはさらに勢いの差が明白になり、ロープに詰められた天心が猛攻を受ける。天心もカウンターを軸に応戦するのだが、クリーンヒットの数では明らかにロッタンが優勢だった。
試合終了のゴングが鳴る。勝負は3人のジャッジによる判定に委ねられた。私を含めた多くの人が、天心の敗北を受け入れる準備をしていた。
この試合内容で天心の勝ちはない。よくて引き分けだ。その場合は勝敗が決するまで、無制限の延長戦が繰り返される。延長になった場合、果たして天心にスタミナは残っているのだろうか。己の勝利を確信してアピールするロッタンと、無表情の天心は対照的に見えた。
<後編へ続く>
