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「何かと批判されるが…」26歳那須川天心は世界王者になれるのか? 米ボクシング専門家たちの見解「タイプは違うが、辰吉丈一郎を思い出した」
posted2025/02/27 17:01

ジェーソン・モロニーに判定勝ちを収めた那須川天心(26歳)
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
中谷潤人対ダビド・クエジャル戦のアンダーカードとして挙行された2試合も非常に見応えのある戦いになった。那須川天心(26歳、帝拳)は前WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(豪州)との10回戦に3-0《97-93x2、98-92》の判定勝ち。王者・堤聖也(29歳、角海老宝石)と挑戦者・比嘉大吾(29歳、志成)の間で争われたWBA同級タイトル戦は12ラウンドを戦い抜き、3者ともに114-114という判定で堤がドロー防衛を果たした。
多くのドラマがあったこの2試合を、NY在住でリングマガジンのランキング選定委員でもある筆者と同誌の編集人トム・グレイ氏が振り返った。
若き日の辰吉丈一郎を想起させる期待度
杉浦大介(以下、DS) 那須川がプロキャリアでは初めて明白なダメージを受け、それでいて元世界王者に競り勝ったセミファイナルはとても興味深い一戦でした。昨年5月、武居由樹に敗れて世界タイトルを明け渡し、“サウスポーが苦手”というレッテルを貼られたモロニーがこの一戦ではしっかりと仕上げてきていました。パンチにもキレがあり、状態はここ数戦ではベスト。初回に右を決めてぐらつかせた時点では、まだプロ6戦目の那須川にキャリアの違いを思い知らせるかと思いました。しかし、那須川が苦しみながらも明白に勝利を手繰り寄せたのが印象的な戦いでしたね。
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トム・グレイ(以下、TG) 初めてピンチを迎えた那須川が、アジャストメントができることを示した試合でもありました。序盤は相手の目の前に立ってしまっていたがゆえにモロニーの右を浴びましたが、サイドに動くことでそれを無効化させたとまでは言わないまでも、的中率を落とすことに成功したのです。
モロニーは相手にプレッシャーをかけるのがうまい選手ですが、那須川はその元王者とフルラウンドを戦いぬきました。初の世界レベルとの対戦で真価を証明したと言え、間違いなくこれまでのキャリアで最大の勝利でしょう。
DS 強烈な右を浴びても倒れず、致命的なダメージを受けなかったことで一定のタフネスを示しました。また、トムの言葉通り、苦しみながらも終盤ラウンドまで戦力を保ち、スタミナの確かさも証明したのでしょう。ここでのハードファイトはポジティブな経験。ちょっと古い話で、選手のタイプも違いますが、辰吉丈一郎が初の世界レベルのテストマッチでアブラハム・トーレスという世界ランカーに苦戦し、ドローに終わった時のことを思い出しました。辰吉がその後に飛躍したように、那須川もここから大きく成長すると思います。
ところで今戦後、ジャッジの公式採点が開き過ぎだという声が一部から上がったのですが、トムはどう見ましたか?