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「那須川天心がナーバスになっている…」モロニー戦でカメラマンが察知した“異変”…思い出した“あの激闘”「天心の勝ちはない。よくて引き分けだ」

posted2025/03/05 17:01

 
「那須川天心がナーバスになっている…」モロニー戦でカメラマンが察知した“異変”…思い出した“あの激闘”「天心の勝ちはない。よくて引き分けだ」<Number Web> photograph by Susumu Nagao

前WBO世界バンタム級王者のジェイソン・モロニーを判定3-0で下し、那須川天心はプロボクシング戦績を6戦6勝とした

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長尾迪

長尾迪Susumu Nagao

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Susumu Nagao

 プロボクシング6戦目で前WBO世界バンタム級王者のジェーソン・モロニーを破り、世界タイトル挑戦へと大きく前進した那須川天心(26歳)。キックボクシング時代から公式戦無敗を続ける“神童”だが、過去には敗北寸前まで追い込まれた一戦もあった。長く那須川を撮影してきたフォトグラファーの長尾迪氏が、強敵との因縁をひもといていく。(全2回の1回目/後編へ)

真っ先に思い浮かんだ“あの男”との闘い

 ボクシングに転向して6戦目の那須川天心にとって、ジェーソン・モロニーとの試合は大きな転機になった。

 試合後のコメントで本人が述べているように、ボクシング転向後にパンチを効かされたことも、相手と真っ向から打ち合ったことも初めてだった。6ラウンドにはあわやダウンかというワンツーをもらいながら、判定3-0で勝利を収めた。

 天心がここまで追い込まれた姿を見せたのはいつ以来だろうか。

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 真っ先に思い浮かんだのは、あの男との闘いだった。

「天心がナーバスになっている…」試合前の“異変”

 2018年から、天心は児童養護施設などで暮らす子どもたちを試合に招待している。「天心ファミリープロジェクト」として地道に継続している社会貢献活動だ。試合前には子どもたちと一緒に写真撮影をして、触れ合うことも忘れない。

 私は立ち上げからこの撮影を任されている。今回もいつも通り試合会場で撮影をしたのだが、妙な違和感を覚えた。天心の表情が硬く、明らかにナーバスになっていたのだ。子供たちと冗談を言い合って、ハイタッチをするいつもの姿はなかった。

 対戦相手のモロニーは前WBO世界バンタム級王者で、2020年には“モンスター”井上尚弥とも対戦した正統派ファイターだ。2024年5月、東京ドームで武居由樹に敗れてタイトルを失ったものの、12ラウンドにはあわや逆転KOかというシーンを作っている。

 これまでに戦ってきたどのボクサーよりも経験豊富で、疑いようのない実力を持つ難敵。天心は相手の強さを認めた上で、自らのSNSでこう発信した。

「今回の試合は負けるかもしれないとも言われてるし俺の中で大勝負です 恐怖心はあります けどそれ以上にワクワクしています(中略)那須川天心が本物なのか偽物なのかこの試合でハッキリわかるでしょう」

【次ページ】 「破壊神」ロッタン・ジットムアンノンの脅威

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