誰も知らない森保一BACK NUMBER
「なぜ森保監督はボール拾いをするのか?」日本代表・森保一監督56歳が行う“異例の雑用”、本人は「監督はあくまでポスト」審判の判定に怒りの抗議も…
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2024/12/07 11:03
11月19日、W杯最終予選中国戦(厦門)。中国の危険なラフプレーが続き、判定に抗議する森保一監督(56歳)
この連載ですでに紹介した通り、森保は選手時代から味方が削られると真っ先に正義感を燃え上がらせるタイプだった。長崎日大高校時代、後輩が汚いファールを受けた際、相手に蹴りを食らわせたという逸話が残っている(連載第5回)。
社会人になってからは感情をコントロールするようになり、今では監督としてコーチングエリア内から声をあげるのみだが、体の奥底には仲間のためなら衝突も辞さない熱さを秘めているに違いない。
今年11月にDAZNの番組『やべっちスタジアム』に出演した際、タレントの矢部浩之に「ヨーロッパで活躍する選手をどうまとめていますか?」と質問されると、次のように答えた。
ADVERTISEMENT
「変にしばってまとめようとしていないんですよ。最初からグループありきでチームづくりをしないというか。個性があって、その個性が融合してひとつのチームになるという考え方です。
それが日本の良さであり、チームのために、仲間のために、日本のために俺はやる、という組織になってほしいという思いでやっています。選手も実行してくれています」
仲間のために闘う。それが森保ジャパンの魂であり、スタンダードなのである。
<前編から続く>
森保一(もりやす・はじめ)
1968年8月23日、静岡県生まれ。長崎県出身。1987年に長崎日大高を卒業後、マツダサッカークラブ(現・サンフレッチェ広島)に入団する。現役時代は、広島、仙台などで活躍し、代表通算35試合出場。1993年10月にドーハの悲劇を経験。2003年に現役引退後、広島の監督として3度のJ1制覇。2018年ロシアW杯ではコーチを務め、2021年東京五輪では日本を4位に、2022年カタールW杯ではベスト16に導いた