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リーグワン開幕! 昨季以上の暴れっぷりが期待できるダイナボアーズ。原動力は相模原の町に愛されるチームの「顔」、サポートカーのトライトンだ。
posted2024/12/19 11:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Shiro Miyake
質実剛健。
三菱重工相模原ダイナボアーズのNo.8とロックをつとめる、ジャクソン・ヘモポのプレーを見ていると、そんな言葉を連想する。
ハードワークを厭わず、劣勢に追い込まれたら味方を鼓舞する。プレーの堅実性、信頼感は抜群だ。
三菱重工相模原ダイナボアーズは昨季のリーグワンで躍進。6勝10敗だったものの、ブルーレヴズ、スピアーズに勝利し、4強入りしたイーグルス、サンゴリアスにも大接戦を演じた。
躍進を遂げたダイナボアーズにあって、大いに存在感を示したのが冒頭で紹介したヘモポだ。
ヘモポは1993年、ニュージーランド生まれ。オールブラックスのメンバーとしても活躍し、代表キャップは5。初キャップは2018年6月のフランス戦で、その年の11月には日本代表とも戦っている。
そこから日本との縁が深まり、2019年にダイナボアーズに入り、いまではすっかりチームの中核選手として存在感を示している。
「ラグビーは一朝一夕にチームとして強くはなれません。小さな自信を雪だるま式に積み重ねていくことで勝つ準備が出来るのです。昨季は間違いなく、チームとして自信を深めたシーズンでした」
上位チームと互角に戦えるようになってきたのは、チームカルチャーが深まってきていることが大きいという。
「年々、ダイナボアーズのカルチャーが浸透してきているように思います。私が来日したころは、職業としてラグビーを捉えていた選手がいたかもしれません。それがいまでは、リーグワンで上位に入り、プレーオフに進むという目標をみんなで共有しています。そのターゲットのために全員がハードワークを厭わなくなりました。チームのため、仲間のために自分が犠牲になるという思いが強くなっていますね」
「ハカ」はチームとして一体化できる重要な瞬間
ヘモポはニュージーランドの先住民族であるマオリの血を引いている。マオリの文化とは、どんなものだろう。
「他の言語で表現するのは不可能だと思えるくらい深い文化です。祖先を敬い、山、川といった自然と共生する。自然からの力を感じ、人生が満ち足りたものになる。生きる力、フォースを感じられる精神的な要素も含んだ文化です。そうした文化を自分が受け継いでいるからこそ、ラグビーでもいいプレーが出来るのだと信じています」
オールブラックスが試合前に披露する「ハカ」は、マオリにとって重要な儀式のひとつである。
「ハカは、本当に大切なものです。先祖から受け継がれてきたパワー、エナジーを感じられるし、オールブラックスの仲間とチームとして一体化できる重要な瞬間なのです」
ヘモポはオフシーズンになると生まれ故郷のニュージーランドへ里帰りし、自然と戯れる。特にサーフィンが好きだ。
「波に乗っていると、自分が自然に帰っていくような気がするんですよ。日常生活のなかで不安に思っていたことが消えていく感覚があります。心身ともにリラックスできて、リフレッシュすることが出来ます」