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「なぜ森保監督はボール拾いをするのか?」日本代表・森保一監督56歳が行う“異例の雑用”、本人は「監督はあくまでポスト」審判の判定に怒りの抗議も… 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2024/12/07 11:03

「なぜ森保監督はボール拾いをするのか?」日本代表・森保一監督56歳が行う“異例の雑用”、本人は「監督はあくまでポスト」審判の判定に怒りの抗議も…<Number Web> photograph by AFLO

11月19日、W杯最終予選中国戦(厦門)。中国の危険なラフプレーが続き、判定に抗議する森保一監督(56歳)

「監督はあくまでポスト」「当然だと思います」

 実は森保監督による球拾いは、今に始まったことではない。2018年7月に森保監督が日本代表監督に就任して以来、よく見られる「日常の風景」なのだ。日本代表をよく取材する記者なら誰もが知っており、当たり前すぎてもはや話題にならないほどである。ゴールを運ぶ姿もたびたび見られる。

 なぜリーダー自ら率先して雑用をするのだろう?

 2019年12月にフジテレビ系列で放送された密着番組『密着180日 なぜ森保一は日本代表監督なのか?』(テレビ静岡制作)において、森保はこう説明した。

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「できることは監督であれ、コーチであれ、スタッフであれ、選手であれ変わらないと思います。監督はあくまでポスト。肩書きの違いであって、チームをつくるという意味では同じ仲間。(球拾いをしたりゴールを運んだりするのは)当然だと思います」

 仲間なのだから助け合って当然――そう考えているのだ。

“後輩のためにやり返した”高校時代

 その哲学がよくわかるのが、試合中に日本の選手がファールを受けたときである。

 森保監督は日本の選手が削られると、人目を気にせず感情をあらわにする。

 たとえば、11月のアウェーの中国戦の後半3分、中国の左サイドバックが蹴り出したボールに田中碧が走り込んだところ、中国のMFがボールではなく田中の体を目掛けて突進。田中はラインの外に弾き出されて転倒してしまった。ボールに向かってプレーしておらず、明らかなファールである。

 森保監督はすぐさま右手を振り下ろし、両手を広げて抗議の声をあげた。主審が笛を吹かなかったため、さらに右手を振り下ろして怒りを爆発させた。

 結局、このこぼれ球を拾われてカウンターを食らい、日本は1点を返されてしまう。選手を怪我から守るという意味でも、森保監督としては受け入れ難い判定だったに違いない。

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