誰も知らない森保一BACK NUMBER
「給料が8万円しかなくて…」18歳だった森保一監督が“初任給”で送った2万円…両親への手紙に書いた“意外な言葉”「ポロポロ泣いていた」
posted2024/02/29 11:02
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
J.LEAGUE
サッカー日本代表の指揮官・森保一(55歳)とはいったい何者なのか? 森保の地元・長崎、そして広島、仙台を徹底取材して見えてきた“意外な素顔”とは? ライター木崎伸也氏がNumberWeb集中連載でレポートする。【連載「誰も知らない森保一」の第15回/第16回も公開中】
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両親の手紙に書いた「天才より」
決して修飾に凝られた美文ではない。だが、短い文の中にも、自分が苦しいときですらも家族を助けようとする「仁心」がにじみ出ている。
森保一は1987年にマツダ運輸に18歳で入社して初任給を手にしたとき、長崎に住む両親に仕送りとともに手紙を送った。その一部がテレビ静岡制作の特番『密着180日 なぜ森保一は日本代表監督なのか?』(2019年12月放送)で公開された。
<本当はいっぱい贈る予定だったけど、給料が8万円くらいしかなかったから、これで我慢して下さい。
(残りの金で服も買いたいし、会社の会費を1万円もはらわんばいけん、ゆるして)
ひー ますみ 高総体頑張れよ
天才より>
当時のマツダ運輸における高卒の初任給は12万円だった。社会保険料や寮の食費などを引いた手取り額が8万円だったのだろう。寮の食事だけでは足りないため、近くの大衆食堂で食べたり、スパイクを買ったりすることを考えると生活はカツカツだ。にもかかわらず、18歳の森保は両親に仕送りをしたのである。
そのとき、母親が泣いた
隣町に住む親友の岩本文昭(元V・ファーレン長崎取締役)は、森保家を訪れたときに母・真知子にこの手紙を見せてもらったことがある。