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「ええっ! ハジメくん金髪?」森保一監督の“いきなり金髪伝説”とは「ハジメくん、やんちゃでしたから」中学卒業式、地元で有名なエピソード
posted2024/01/26 11:15
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
JFA/AFLO
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森保一は日本サッカーの歴史を変えた名将である――。
サンフレッチェ広島の監督としてJリーグを3度制し、日本代表監督として2022年カタールW杯でドイツとスペインに劇的な逆転勝利を収めた。日本がW杯で優勝経験国に勝ったのは初めてのことである。前半は体力を温存し、後半に強度を上げる「秘策」によって伝統国の足をすくった。
さらに昨年9月、ボルフスブルクで行われたドイツとの再戦では、リベンジに燃える相手を強気の守備戦術で返り討ちにした。各自が個人勝負になっても勝てると見込み、オールコート・マンツーマンプレッシングを仕掛けたのだ。
後半こそいつものブロックをつくる守備に戻したが、前半に選手たちは見事にそれをやりきった。「日本人はフィジカルが劣る」という考えは、もはや過去のものである。
今、森保ジャパンは本気でW杯優勝を目指し、そこからの逆算で日々を過ごしている。新たなスタンダードが生まれたのだ。
ただし、そういう監督としての「仕事」が広く知られる一方で、人としての「素顔」はあまり知られていないように思う。
もちろん試合後のインタビューの受け答えによって、「いい人」というイメージは持たれているだろう。髪型が変わらないことから「ブレない」という印象も定着しているかもしれない。
しかし、「いい人」という要素だけで、世界の名監督たちを出し抜くことができるだろうか? 相手の裏をかけるだろうか? 答えはノーだ。森保を名将たらしめている「x-factor」(未知の能力)があるに違いない。
素顔の森保とはどんな性格で、それがどのように強みになっているのか? その謎を解く鍵は、きっと「人生の始め」(ルーツ)にある。今回、中学時代、高校時代、マツダ時代を取材すると数々の「伝説」が明らかになってきた。
「ええっ! ハジメくん金髪?」
たとえば、中学の卒業式での出来事だ。1968年8月生まれの森保は、1984年に中学を卒業している。
地元・長崎市立深堀中学校の卒業式において、森保は今の真面目な人物像からは想像もつかない行動を起こす。