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「タスキの重さを力に」“エンジ”の名門を牽引する早稲田大学・伊福陽太と立命館大学・村松灯は、最後の大学駅伝で高い牙城を崩せるか
posted2024/12/16 11:00
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
AFLO
大学駅伝シーズン真っ只中。男女ともに熱い大会が繰り広げられており、残すは、それぞれ年末年始に開催される大会だけとなった。
大学スポーツにおいて、キーマンとなるのはやはり4年生だろう。4年間かけて着実に力を付け、チームの主力に成長。個人で活躍を見せながらも、その力を駅伝でも遺憾なく発揮する。
早稲田大学の伊福陽太は、指定校推薦で入学したいわゆる“一般組”と呼ばれる選手だが、2年時からは駅伝のメンバーとして活躍を続け、今や主力に数えられる。今年2月の延岡西日本マラソンで学生歴代6位(当時)となる2時間9分26秒の大会新記録を打ち立てて優勝を飾っており、個人のレースでも躍動した。
女子の名門、立命館大学で3年時よりキャプテンを務めているのが村松灯。昨年のFISUワールドユニバーシティゲームズや今年2月の世界大学クロスカントリー選手権で日の丸を付けた、学生長距離界を代表する選手だ。そして、10月に行われた全日本大学女子駅伝では、9年ぶりの優勝の立役者となった。
男女の“エンジ”のチームのキーマンとなる二人に、駅伝にかける思いなどをオンラインで語ってもらった。
駅伝への強い思い
――お二人とも駅伝で主力として活躍をしながらも、個人でも結果を残しています。大学4年間で目標意識はどのように変わっていきましたか。
伊福 1年、2年の頃はとりあえず駅伝に出たいと思っていました。2年目に正月の駅伝を走ってからは、次は出るだけではダメだと思い、そこからまた一段階上の取り組みを始めて、3年目にはマラソンに出ました。マラソンは、2年目に花田さん(勝彦、駅伝監督)が来られた段階で「いつかはやろうね」と話していたんです。3年目で初めてマラソンを走ってわりと良い結果だったので、将来的にはマラソンを頑張りたいと考えるようになりました。でも、大学生活の中でのモチベーションは、やっぱり駅伝が一番大きいです。
村松 私も大学に入ってすぐは全日本大学女子駅伝で走ることが目標でした。1年目から、憧れていたレースに出ることはできたのですが、結果が良くなくて、特に全日本は全然走れませんでした。そこからコーチとも話して、本気で駅伝の優勝を目指していきたいと思うようになりました。
2年生では距離を延ばして、10000mを走りはじめました。日本インカレでは5000mで2位になれましたが、距離を延ばしたことが結果に繋がったと思います。
転機となり、もっと上を目指そうと思ったのは、3年時にユニバー(FISUワールドユニバーシティゲームズ)に出たことです。学生ですけど、日本代表っていう肩書きで、いざレースに出てみたら、全然走れなくて……。
日本代表に選ばれたことに満足していた自分がいて、“選ばれるだけじゃあかん。より上を目指していきたい”と思うようになりました。それから自分の競技レベルが少しずつ上がっていった気がします。クロカンでも日本代表に選ばれ、経験を積んでいくうちに、卒業後はもっと世界を目指して競技を続けたいと思うようになりました。
でも、私も、駅伝が自分の中で一番大きいです。3年時に負けてからは、こんなにやらないと勝てへんのか……って思うぐらい、駅伝に向けて練習をやってきました。この1年は本当に、全日本に懸けていました。
個の強さがあって、駅伝で勝てる
――駅伝という大きな目標があるなか、個人で結果を出すことには、どういう意義があると考えていますか。
伊福 花田さんは「いろんな個を育てて、それを集約させて駅伝につなげたい」とよくおっしゃっています。早稲田には、それぞれが目標を持って個人で力を付けて、駅伝に反映させるというスタイルがあります。そのなかで、僕も個を磨いてきました。自分の場合はそれがマラソンでした。一つ結果を残すことができたので、それを強みにしています。
村松 チームとして駅伝で勝つためには、個人個人が強くならないといけません。シーズン前半は、個人で結果を出すことによって、今年の立命館は強いんだとアピールすることが、駅伝につながっていくと考えていました。
また、私がユニバーに出たことで、後輩も「2年後にユニバーを目指します」と言ってくれましたし、1年生の山本(釉未)がU20世界選手権に出たことで、チームも刺激を受けたし、私も「もっと頑張ろう」と思うことができました。
個人でも、結果を残すことで、チームに追い風を吹かせたいと思って、いつも走っています。
――立命館大は4年目についに王座奪還に成功しました。駅伝で勝ちたいと思いつつ、“優勝できる”と信じ切ることはできましたか。