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「日本バスケのためを思って…」八村塁が“再び協会批判”ウラに日本代表への特別な想い「それなら来なくていいと切り捨てるのは簡単」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byAFLO SPORT
posted2024/11/26 11:04
2015年、高校生で唯一日本代表候補に名を連ねた頃の八村塁。「日本代表」に対する想いは特別なものがある
一方で、八村の話の肝は、単なるホーバス批判ではない。代表のヘッドコーチが代わらなければ代表に戻れないということなのかと聞かれた八村は、こうも語っている。
「日本の、JBAの組織が変わらないと、それは変わらないです。同じ人たちがずっと上でやってるんで。そういう人たちがずっとやって、世界がどうだかって言ってるのも僕はおかしいんじゃないかなと思うんですね。(協会の上の人たちは)今まで世界に行ってなかったんで、それをいきなり『これが世界のコーチだ、これが世界の誰だ』って言ってるのも僕はおかしいんじゃないかなと思います」
つまり、根本には協会に対する不信感がある。ホーバスHC問題はそのなかのひとつにすぎない。
正直言って、ここまでこじれたら日本代表としての八村を諦めるのが一番簡単だと考えている人も多いだろう。現状、ホーバス体制でロサンゼルス五輪までの戦いを始めた以上は、ここから引き戻してコーチを交代することは簡単ではない。逆に、日本のトッププレイヤーである八村の考えに配慮し、ホーバスを交代させるべきだと考えている人たちもいるかもしれない。しかし、そのどちらを行ったとしても、それだけで日本代表がいい方向に進むわけではない。
「日本のバスケのためを思って言っているだけ」
八村が語った言葉にさらに耳を傾けてみよう。
「そもそも何でこういうふうに言ってるかというと、やっぱり僕も小さい頃からずっと日本代表でやっていますし、そういう中で僕としては別に(代表でプレーしても)利益もないですし、別に何か得ることはないんです。僕が日本代表でやるときは『日本のために』って(いう思いで)やってるんですね。
そういうところで、こうやって日本代表は活動費が必要だと言ってる中、その活動費は本当にどこに使われてるのかなって話なんですよね。プレイヤーファーストって精神はあまり見られないですし、こうやって僕もいろんなオーガニゼーション(組織)にいて、団体がいいオーガニゼーションというところは、やっぱりプレイヤーファーストだからこそ、プレイヤーが集中してプレーできるとか、そういうところを考えながらやってるからこそ強くなって、そういうのでお金が入ってくるって話だと思うんですね。でも、彼ら(JBA)がやってるのは、僕からしたらプレイヤーファーストじゃなく、自分たちの利益になることを先にやって、そのお金を何に使ってるか僕はわからないです。
子供たちが見ていて『僕もそういうふうになりたい』『私もそういうふうになりたい』って思うような日本代表では僕はないと思います。なので僕はそう言ってるだけで。別に僕がこれを別に言わなくてもいいことであって、でも僕は本当に日本のバスケのためを思って言っているだけなので」