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核心にシュートを!BACK NUMBER
日本代表のW杯出場確率「99%超」だが…“インドネシア戦の大ピンチ”は不運だけで済まない「それでも守らないと」遠藤航が力を込めたワケ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byEPA/JIJI PRESS
posted2024/11/19 11:02
インドネシア戦の遠藤航。立ち上がりの大ピンチなど、日本代表は課題をどう解決していくか
相手3人がフリーの状態になっていたからだ。そのうちの1人からロングボールが送られ、イレギュラーバウンドの対応に板倉滉が手こずったところで、相手の11番ラグナー・オラットマングーンに入れ替わられて決定機を作られた。最終的にはGK鈴木彩艶が独力でチームを救ったのだが……。
全体の陣形が崩れているところで、この日一番の大ピンチを招いたという意味では、10月のオーストラリア戦の失点シーンと根本の原因は似ているとも言える。
不運と問題点、それぞれ整理してみると
一連のシーンにおける、アンラッキーな点と、日本の問題点を整理しよう。
〈アンラッキーな点〉
(1)日本のFKを跳ね返したあと、インドネシアの選手たちが本来のポジションに戻るのが遅かった。
※インドネシアの3選手は鎌田のシュートに合わせて、慌てて戻っていた。ただ、彼らにとっては幸運な形で、彼らの走っていたエリアにボールが転がっていった。
(2)相手のロングボールがイレギュラーバウンドした。
〈問題点〉
(1)守田から三笘へパスが出た時点で、守備陣がカウンターに備えられるポジションへ移動していなかった。危機管理が十分ではなかったとも言える。具体的には、相手は前線に1人しか残していなかったため、日本の3CBは距離を近くしておくべきだった。
(2)もしあのタイミングでロングパスを出されると、守備陣のポジション修正が体力的な問題で難しいなら、事前にそのすり合わせをしておく必要があった。
(3)イレギュラーバウンド自体はアンラッキーだったが、オラットマングーンの身体の動きに、板倉が惑わされてしまった。
サッカーにおける失点の構造を理解する際に、参考になる考え方がある。「ハインリッヒの法則」だ。飛行機事故などの労働災害を説明する時に用いられるこの法則をシンプルに説明すると、以下のようになる。
〈大きなアクシデントが起こるときには、その前に、いくつもの小さなミスやハプニングが積み重なっている〉
サッカーで言うなら、失点という大きなアクシデントが起きる時には、その前に小さなミス、不運やハプニングが多くあるということだ。
カウンターのシーンでは上記したポイントに加えて、ボールの軌道が読みづらいピッチ、試合開始直前から降り注いだ雨でぬかるんだ芝生と地面という要素もあった。
そのなかで自分たちがコントロールできるのは、ポジショニング、危機意識、攻撃陣と守備陣の意思統一、1対1の場面での守備対応である。逆に言えば、これらを高いレベルで実行できていれば、アンラッキーな要素を決定機につなげられずに済んだ可能性が高い。
相手が強くなったとしても、今回のように
「もちろん、後ろの選手たちを助けるために自分はいます。そして、前線やウイングバックの選手も含めて、こういう相手に対して今後どう守っていくかを話し合っていければなと思います」
遠藤は特定のポジションや選手に原因を押し付けるつもりがないことを念押しした上で、こう力をこめた。