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《ノーノー達成》巨人・戸郷翔征(24)はなぜ“ドラフト6位”の低評価だった? 日本代表を圧倒も…関係者「あんなフォーム、怖くていじれない」
posted2024/05/29 06:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
5月24日の阪神戦、8回まで2つのエラーだけで、ノーヒットで快調に投げ進めてきた戸郷翔征投手が、9回、先頭の8番木浪聖也遊撃手に四球を与えてしまった。
代打・小幡竜平内野手(延岡学園高)は、同じ宮崎県高校球界の同期生としてしのぎを削ってきたライバルだ。バントで送って、さあ、1番・近本光司中堅手、2番・中野拓夢二塁手。タイガースが誇る「山椒は小粒でもピリリと辛いコンビ」の登場。快挙の夢ついえるとすれば、ここか。ありがちなストーリーである。
近本光司の一塁ライナーにはハッとさせられたが、続く中野拓夢を、フォークで空振りの三振に切って取ったのには驚いた。
同点のランナーが、二塁にいた。俊足の代走・植田海。2死だからセカンドリードも大胆で、もしフォークが沈み過ぎてパスボールにでもなったら、バックネットまで距離のある甲子園だ。一気にホームへ突入、ノーヒットノーランどころか、同点という可能性もあった。
状況は確かにそうだったが、映像で見ている戸郷投手のマウンドさばきからは、そんな危うい気配など全く伝わってこない。
平然と、淡々と、飄々と。ただでさえ、巨人戦の甲子園球場である。画面からは聞こえてこないが、おそらく現場では「阪神命」の大観衆からの絶叫や念力……戸郷投手への「圧」は、ピークに達していたはずだ。
最後まで落ち着いていたマウンド上の戸郷
なのに、マウンド上の戸郷投手だけが、一切の外圧を遮断した「カプセル」に入って打者と向き合っているような異次元ぶり。
最後は「どうせやるな」と、妙に安心して見ていられたのだから、巨人・戸郷翔征投手というのは、果てしなく凄い投手になったものだと、あらためて驚いた。
戸郷翔征投手が、昨シーズンのセ・リーグ覇者・阪神タイガース戦で、ノーヒットノーランの快挙を成し遂げたことは、2018年の高校日本代表のメンバーたちが誰よりも「そうだろう、そうだろう!」と納得しているのではないか。