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《ノーノー達成》巨人・戸郷翔征(24)はなぜ“ドラフト6位”の低評価だった? 日本代表を圧倒も…関係者「あんなフォーム、怖くていじれない」 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byJIJI PRESS

posted2024/05/29 06:00

《ノーノー達成》巨人・戸郷翔征(24)はなぜ“ドラフト6位”の低評価だった? 日本代表を圧倒も…関係者「あんなフォーム、怖くていじれない」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

阪神戦で史上89人目となるノーヒットノーランを達成した巨人の戸郷翔征。その活躍とは裏腹に、高校時代のドラフトでは決して高評価ではなかった

 大阪桐蔭高・根尾昂(現・中日、投手)、同・藤原恭大(現・千葉ロッテ、外野手)、報徳学園高・小園海斗(現・広島、内野手)、浦和学院高・蛭間拓哉(→早稲田大、現・西武、外野手)、常葉大菊川高・奈良間大己(→立正大、現・日本ハム、内野手)……その年、2018年の「高校ジャパン」は「歴代最強打線では」の評価もあったほど、甲子園の俊英たちが居並んでいた。

 実際に、少し前の「大学日本代表」との交流試合では、早稲田大・小島和哉(現・千葉ロッテ)、日本体育大・松本航(現・西武)、明治大・森下暢仁(現・広島)、東北福祉大・津森宥紀(現・ソフトバンク)らのちにプロ球界に進み、投手陣の一角として奮投する快腕たちを相手に、その投球を結構、バットの芯で捉えていた逸材たち。

 そのチームと、サンマリンスタジアム宮崎での練習試合で、真っ向勝負をいどんだのが「宮崎県選抜」のエース・戸郷翔征、その人であった。

「宮崎県選抜」が「日本代表」を圧倒

 サイドハンドにも、スリークォーターにも見える独特の角度から、豪快に腕を振って投げ込むフォームは、基本、今の戸郷投手と変わらない。だが、当時のほうがかなり暴れている印象のフォームだったから、打席で立ち向かうバットマンたちも、ちょっと腰が退けぎみだったのは確かだった。

 そこに145キロ前後の速球と曲がりの大きなスライダーで真っ向全力投球の勝負をかけてくるのだから、全国有数の選手たちも面食らってばかり。さらに速い動きのチェンジアップを交えてくるから、なかなかバットに当たらない。

 初回2死三塁、予定外のリリーフのマウンドに上がり、そこから6回までのロングリリーフ。アウト16のうち9つの三振を奪ってみせたから驚いた。

 たまたま取材で現場にいたので、戸郷翔征のマウンドさばきやダグアウトに戻って来る時の表情を、間近で見ていた。

 ちょっとアゴを上げめにして、別に意識してそうしているわけじゃなかったのだろうが、相手からすれば、挑発されているように見えたのでは? 強烈な目力で、打席に入ってくる打者をにらみつけるように迎え入れる。いい根性してるなぁ。いつのまにか、私のほうがファンになっていた。

【次ページ】 独特のフォームゆえか…ドラフトでは高評価ならず

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