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「巨人エースの系譜」戸郷翔征24歳ノーヒットノーラン…懸念は「球数かさみがち問題」山本由伸の“2回とも102球ノーノー”と比べると?

posted2024/05/28 11:00

 
「巨人エースの系譜」戸郷翔征24歳ノーヒットノーラン…懸念は「球数かさみがち問題」山本由伸の“2回とも102球ノーノー”と比べると?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ノーヒットノーランを達成した戸郷翔征。巨人のエースとして頼もしさを増している

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 戸郷翔征が5月24日、甲子園の阪神戦でノーヒットノーランを達成した。プロ野球89人目、101例目だった。ペナントレース外では2018年10月14日、同じ巨人の菅野智之がクライマックスシリーズでヤクルトを相手に達成している。

今季の戸郷は様々な指標が上昇している

 現在24歳の戸郷はすでに「巨人のエース」と言ってよい存在ではあるが、今年は各種指標が昨年よりも上昇している。

奪三振率(K/9):7.46→7.98
奪三振÷与四球(K/BB):3.62→4.33
被打率:.225→.182
1回あたりの安打、四球による走者数(WHIP):1.06→0.85
防御率:2.38→1.84

 今年の戸郷はフォーシーム、フォークともに球の切れが良くなった印象を受ける。制球力の良いフォーシームに加えて、球速差がそれほどないフォークとスライダーを持っているが、24日の阪神戦ではストライクを取るフォークと空振りを奪うフォークを使い分けていて、これにスライダーを織り交ぜることで打者の狙い球を狂わせ、タイミングをうまく外していた。

 戸郷は奪三振数がイニング数を上回ることはない。パワーピッチャーというより、バランスの良い先発投手といったところか。ノーヒットノーランの試合ではわずか5奪三振だったが、多彩な「アウトの取り方」で打者を退けた印象だ。

 この日の捕手は岸田行倫。2021年以降、岸田とはこれまで5回バッテリーを組んでいたが、0勝3敗、防御率6.85と芳しいものではなかった。しかしこの日は、戸郷が岸田のサインに即応して投げている印象で、テンポも良かった。新しい「名コンビ」の誕生を感じさせる。

 戸郷のノーヒットノーランは、巨人としてはポストシーズンも含めて18回目。

〈球団別のノーヒットノーランの回数〉 ※は現存しない球団
 巨人 18回(ポストシーズン1回含む)、完全試合2回
 名古屋・中日 12回
 阪急・オリックス 11回(山本由伸が2年連続記録)、完全試合1回
 タイガース・阪神 9回
 西鉄・西武 9回、完全試合2回
 国鉄・ヤクルト 9回(金田正一が2回)、完全試合3回
 近鉄 7回、完全試合2回(鈴木啓示が2回)※
 広島 6回、完全試合1回(外木場義郎が3回)
 東映・日拓・日本ハム 6回、完全試合1回
 南海・ソフトバンク 4回
 大洋・DeNA 4回、完全試合2回
 ロッテ 3回、完全試合2回
 イーグルス・黒鷲 2回(2回とも亀田忠)※
 大陽 1回※
 大映 1回※

沢村、堀内、槙原、菅野…戸郷もその系譜に

 東北楽天ゴールデンイーグルスは2005年の球団創設以来、ノーヒットノーランを記録した投手はいない。巨人の18回は、ダントツの最多だ。

【次ページ】 戸郷で気になるのは…何度かある「極端に多い球数」

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