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「月面のサムライ」「ランはシンデレラ」高橋藍22歳バレー王国イタリアでなぜ絶賛? ベテラン名物記者も断言「選手として一皮むけた」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byTakahisa Hirano/AFLO

posted2024/05/04 11:02

「月面のサムライ」「ランはシンデレラ」高橋藍22歳バレー王国イタリアでなぜ絶賛? ベテラン名物記者も断言「選手として一皮むけた」<Number Web> photograph by Takahisa Hirano/AFLO

今季から加入したモンツァを牽引し、セリエAプレーオフの決勝に進む快挙を達成した高橋藍

「何が変わったかといえば心の持ちようです。(最初のチーム)パドヴァでの1年目はシーズンの途中からの加入だったので、自分は(周囲から)試されていると感じていた。2年目からはシーズンの最初からチームと過ごすことで、チームメイトやスタッフからの信頼関係がどれほど重要で支えになるのかがよくわかりました」

 気さくすぎるイタリア流の人付き合いに当初戸惑った、とも明かしている。ただ、己の習慣と異なろうともそのちがいを発見することに意味がある、と高橋は聡明だった。古い街並みを散歩する楽しみや夕食前にアペリティーボ(食前酒)を嗜む現地の習慣も覚えたとも語る一方、プロ精神を忘れることはなかった。

「日本とイタリアは確かに遠い。気軽に友人と話すこともできないし、寂しいときもある。でも、これは僕らの仕事ですから」

中心選手として“優勝”を争ったプレーオフ

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 高橋にとってセリエAは「外国人選手のプレー起用制限がないから世界中からトップ選手が集まってくる」世界最高の舞台。3年目の今季は4強に次ぐ5位でレギュラーシーズンを終え、初めて優勝を争うプレーオフを経験した。意気込みはかつてないほど高かったはずだ。

 ハイライトは昨季王者トレンティーノを破ったプレーオフ準決勝だろう。

 5戦3勝勝ち抜け制トーナメントのセミファイナルで、モンツァは第1戦から連敗、下馬評通りに追い詰められてしまう。

 ここでモンツァのマッシモ・エッケリ監督は高橋を含むアタッカー3人を同時に並べる布陣変更を施し、レセプション態勢の見直しを断行。攻守を安定させ、起死回生の3連勝で決勝への切符をつかみとった。

 大逆転を可能にしたのは、モンツァの選手たちの結びつきが強かったことも大きい。「カチョーパ」の愛称で親しまれるセッターのブラジル代表フェルナンド・クレリングは「このチームで少しでも長くプレーしたいと思っている。自分たちの“ラストダンス”だから全力を尽くす」と力を込めて語っていた。

【次ページ】 決勝で敗れるも、獅子奮迅の髙橋藍

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