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「月面のサムライ」「ランはシンデレラ」高橋藍22歳バレー王国イタリアでなぜ絶賛? ベテラン名物記者も断言「選手として一皮むけた」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byTakahisa Hirano/AFLO
posted2024/05/04 11:02
今季から加入したモンツァを牽引し、セリエAプレーオフの決勝に進む快挙を達成した高橋藍
ペルージャに敗れたプレーオフ決勝でも先勝された後、ホームで星を取り返した第2戦で高橋は獅子奮迅の活躍を見せた。
1勝2敗と相手に王手をかけられ、雌雄を決した第4戦でもモンツァのキーマンとして高橋に対する注目度は高く、中継したイタリア公営放送RAIの実況では「2003年にスクデット(優勝)を獲得した加藤陽一(当時トレヴィーゾ)に続く史上2人目の日本人ファイナリスト」としてクローズアップされる場面もあった。
現在のセリエAでは新王者となったペルージャを初め、昨季王者トレンティーノにピアチェンツァ、そしてルーベ(チヴィタノヴァ)という強豪にリーグ4強を占められている。予算や戦力、環境面で4強にあらずば、スクデットを狙うことは甚だ困難だ。
だから、昨季レギュラーシーズン7位だったモンツァが、今季のプレーオフで上位常連チームを次々に撃破しながらつかみ取ったファイナル進出はクラブ史上に残る快挙といえる。
「一人ひとりが素晴らしいやつらだった」
コッパとセリエAプレーオフ両方の決勝で挑み、敗れたペルージャとの間に埋めがたい差があったのは事実だ。
だが、高橋にもモンツァの仲間たちにも涙はなかった。
ペルージャに敗れた試合直後、汗だくになったガラッシは高橋を含むチームメイトたちを「誇りだ」と清々しく語った。
「戦力からいえばうちが優勝を争えるチームじゃないことは誰にでもわかる。それでも俺たちはファイナルまでたどりついたし、それを心底誇りに思う。優勝できたかも、という悔いは残るかもしれない。けれど、いつか俺たちはすごいことをやったんだってふり返れる日が必ず来る。チームメイトは皆、一人ひとりが素晴らしいやつらだった。最高だったよ」