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アメリカ人に「大谷翔平スゴい」を言わせたい日本メディア…米記者が本音で語る“疑問”「なぜか僕は週に3度くらい日本の記事に登場する」 

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サム・ブラム+ディラン・ヘルナンデス

サム・ブラム+ディラン・ヘルナンデスSam Blum + Dylan Hernández

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posted2024/04/19 11:03

アメリカ人に「大谷翔平スゴい」を言わせたい日本メディア…米記者が本音で語る“疑問”「なぜか僕は週に3度くらい日本の記事に登場する」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

米記者が本音で語る日本の「大谷翔平報道」への疑問とは

サム 僕は一生懸命に働いている人を貶したくないからポジティブに見ているんだ。でも、僕がそれをやれと言われたら、新しい仕事を探すと思う。

日本人が求める「いかに大谷が素晴らしいか」

ディラン サム、日本の記者が君に質問しているのは、責任を逃れるためだよ。大谷がクソみたいなプレーをしても、彼らは直接はそう言わない。「サムが言うには」と書いて記事になるんだ。「大谷はダメだ」とアメリカのメディアが言っていると。

トモヤ 「ディランが言うには」もね。

サム そういうインタビューでは、大谷について否定的なことは、ほとんど言わなかったような気がする。彼らが求めているのは、「いかに大谷が素晴らしいか」についてだと感じることもあったし。

トモヤ 僕もそれを感じることがある。特にテレビの取材で、「大谷は素晴らしい」の結論ありきで、質問してくる。それに合うようなコメントを欲しがっているのが伝わってくる。

ディラン 今は順調だけど、特に大谷の最初の3年間は、否定的なものであれば、僕らが書くのを待ってから、「現地メディアはこう言っている」って報じる。面白いことに、時々、彼らは僕にアイデアをくれて、僕がそれを書くように仕向けて、その内容を記事にするんだ。元々、彼らのアイデアだったのに。

サム 勉強になるなあ。

ディラン 黒田博樹がドジャースにいた頃(2008~2011年)、ずっと黒田に貼り付いていた記者がいた。彼と黒田は仲が良くて、毎日そこにいる唯一の記者だから、特ダネを手に入れることができたんだ。だから僕も、彼の書いた記事を読んで、それをもとに黒田に話して記事を書いた。そしたら、その記者は、私の記事を記事にするんだ。「ディランによると」って。

 僕が記事にしたってことが日本ではニュースになる。「アメリカのメディアは黒田について、こう報じている」ってことに日本人は興味があるんだ。僕も実は日本人なのに。でも、だからこそ、日本人がアメリカ人に従属的になっていることを少し危惧している。トランプを当選させたような国民なんだから、俺たちの言うことになんて絶対に耳を傾けちゃダメだ。

サム 100パーセント同意だね。

ディラン まだ第二次世界大戦の傷跡が残っているんだろうね。だから、アメリカの言うことは今でも奇妙なまでに重視される。

【次ページ】 僕は週に3度くらい日本の記事に登場する

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