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アメリカ人に「大谷翔平スゴい」を言わせたい日本メディア…米記者が本音で語る“疑問”「なぜか僕は週に3度くらい日本の記事に登場する」 

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サム・ブラム+ディラン・ヘルナンデス

サム・ブラム+ディラン・ヘルナンデスSam Blum + Dylan Hernández

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/04/19 11:03

アメリカ人に「大谷翔平スゴい」を言わせたい日本メディア…米記者が本音で語る“疑問”「なぜか僕は週に3度くらい日本の記事に登場する」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

米記者が本音で語る日本の「大谷翔平報道」への疑問とは

サム そう。選手の活躍を測る上で重視される指標が日本とアメリカで違う。面白いなと感じるよ。細かい技術的なこともよく聞かれる。ちょっとピッチングやバッティングの手の位置が変わったこととか、いつもと違うバットを使っているとか、スポンサーが変わったとか。正直、僕はそうしたことは、ほとんど気にしていない。大谷のスポンサーがニューバランスだろうと何だろうと、どうでもいいことだから。日本人選手がアメリカで、アメリカ人選手よりもはるかに優れた活躍をしていることが、日本で話題になっているのは理解できる。だから、大谷についてのあらゆる詳細が、とても重要なんだろうね。

日本人記者たちの「見えない努力」

 日本メディアは、大谷がロッカールームに入るのと出るのを確認するまで帰ろうとしないんだ。ダグアウトで日本の記者たちと話していても、大谷が歩いて出てきた途端に、「どっか行け!」という感じになるんだ。「サム、俺に話しかけるな。この男が、いつもと同じようにダグアウトに出てきて、いつもと同じように外野の壁にトレーニングボールを投げる姿を写真に収めなきゃいけないんだから」ってね(笑)。

 スプリングトレーニングでは、何人もの記者がトレーニング施設近くの岩山に登って、そこから彼の姿を見逃すまいとしている。夜明けから4時間もだよ。もしかしたら、大谷が早く到着するかもしれないからって。毎日、毎日、何があろうと、この小さなことを成し遂げようとする仕事への姿勢を目の当たりにして、とても感銘を受けたよ。

 この2年半で知り合った日本の記者たちがいなくなるのは本当に寂しい。特別な仲間たちだったから。大谷を毎日、取材できなくなるのも寂しいけど、一緒に仕事をした仲間たちとの別れほどではないな。

ディラン サムは、とてもポジティブな見方をしているんだな(笑)。彼らは服役囚みたいなものなんだぞ。僕は一度も日本に住みたいと思ったことはない。なぜ日本の記者たちが山の頂上で待ってなきゃいけないのか分かる? 選手たちに、自分たちも同じくらい仕事に対して真剣だと示さなきゃいけないからだ。それを選手に見てもらえるかもしれないから、あそこで待ってなきゃいけないんだ。酷い話、完全に時間の無駄だよ。

【次ページ】 日本人が求める「いかに大谷が素晴らしいか」

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