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「お父さんと競馬の話をずっとして…」横山典弘と息子たちの“微笑ましい父子関係”…武豊も「刺激を受けずにはいられません」〈56歳の誕生日〉 

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/02/23 11:03

「お父さんと競馬の話をずっとして…」横山典弘と息子たちの“微笑ましい父子関係”…武豊も「刺激を受けずにはいられません」〈56歳の誕生日〉<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

『Number』が撮影した横山典弘と息子の和生(左)、武史の貴重な家族ショット

横山和生の口から自然に出た「お父さん」

 少し前の時代に「名手」の名をほしいままにした岡部は、'05年2月10日に56歳4カ月10日まで乗り続けて、JRAにおける勝ち鞍を2943まで伸ばしてムチを置いた。それが当時の史上最多勝。そのときには武がすごい勢いで2500勝台まで来ていてアッと言う間に史上1位に躍り出るのだが、いわゆる「岡部超え」は多くの騎手にとっての難攻不落の鋭峰として、19年経ったいまもそびえているのだ。

 2月23日に56歳の誕生日を迎える横山は、2月4日の時点で2939勝。武以外には誰も成し得ていない鋭峰超えを、当人より速いペースで間もなく抜いて史上2位に上がることになる。

 そうは言っても、そんな数字で感慨に耽るような横山ではない。

「寝ても覚めても、競馬のことだけを考え続けてきた。毎週たくさんのレースに乗ってきたときも、少ない鞍数に向き合ういまもそれはまったく変わらない。レースの前に考えることはいっぱいあるわけだけど、それでも、その日の馬の気分が“走りたくない”だったら、騎手として無理強いするわけにはいかない。そこが難しいところなんだよ」

 美浦から栗東に拠点を移した最初の日は、長距離運転を長男の和生騎手に任せての車移動だったという。

「あの日は渋滞もあって、美浦から8時間ぐらいはかかったのかな。車中ではお父さんと競馬の話をずっとしていましたよ。だから、気がついたら栗東に着いていて、ああ、そんなに時間が過ぎていたのかって感じでした」

 和生の口から自然に出てきた「お父さん」の語感が耳に心地よくて、三男の武史騎手も含めた父子関係の良さが想像できて、それだけで微笑ましい気持ちにさせられるのだ。

 1月14日に中山競馬場で行われた京成杯を快勝して次走に皐月賞を見据えるダノンデサイル(牡3歳、栗東・安田翔伍厩舎、父エピファネイア)が今年のクラシックパートナー。

 まだまだここも通過点としながら、38年目も輝き続ける横山だ。

横山典弘Norihiro Yokoyama

1968年2月23日、東京都生まれ。'86年デビュー。'90年キョウエイタップでエリザベス女王杯を制しGI初勝利。'10年にはリーディングジョッキーに輝く。GI通算33勝(地方6勝)、163cm。

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