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《京大合格約30人》京都の公立進学校が高校駅伝で大躍進のナゼ「授業は7限、スポ薦ナシ、中学の実績ゼロ」でも“選手が伸びるスカウト”とは?
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph byYuki Suenaga
posted2024/01/21 11:00
昨秋の駅伝シーズン、京都府大会で準優勝、近畿大会でも3位に食い込んだ洛北高校。公立校だが毎年京大合格者を30人近く輩出する進学校だ
「本当に失礼な話なんですけど、最初に顧問の先生にお声がけするときに『●●くんの成績はどれぐらいなんですか』と聞きますね。そもそも受験できるレベルでないと声をかけても難しい部分もあるので。
あとは、もちろん走りの動きは見ます。中学時代に追い込みすぎてないかな……とかですね。でも、一番は意欲です。『強くなりたい』という意欲のある選手。正直、中学生だとタイムはあまり関係なくて。そういう内面の部分が大きいですね」
学業成績のハードルを越えられそうで、かつ「意欲」のある選手には「ぜひ受験してほしい」という話をするのだそうだ。
「よく“意識が高い”と言うでしょう。日常から競技のことを考えて生活できるということだと思うんですが、その前提には意欲がないと意味がない。『強くなりたい』という意欲があるからこそ、結果的に意識が高くなる。逆に言えば、誰かに言われて“意識が高い”状況ではダメなわけです。意識より意欲です」
制限された環境で必要な「ブレない意欲」
いわゆる駅伝強豪校のような恵まれた環境なら、仮に意欲が希薄でも能力さえ伴えば、周囲と日々のトレーニングに食らいつくことで成長することもできる。
だが、洛北高校のような環境では、難波曰く「誰もが何かを掛け持ちしている状態」だ。
部活動に打ち込むだけでなく、並行してハイレベルで学業もこなさなければいけない。制限された時間のなかで成長しなければならない状況においては、何をおいても「絶対に強くなる」という揺るぎないメンタルが重要なのだろう。
「そう考えると、入学した時から目的がハッキリしている子が多いかもしれません。『箱根駅伝を走れるレベルになりたい』『全国大会で活躍したい』という子もいれば、『京大で新しいシューズを研究したいから、トップランナーの気持ちも分かるようになりたい』という子もいます。
ウチの場合は、よく聞く『目の前の課題をクリアしていって、気づいたら強くなっていました』というタイプはあまりいないですね。あくまで目標が先にあって、そこに向かって進んでいく選手が多い印象です」