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スピード練習ナシ、距離もペースも自分次第、コースは鹿の出る公園…高校駅伝で大躍進《京大合格約30人》京都の公立進学校「超自律型練習法」
posted2024/01/21 11:01
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
Yuki Suenaga
昨年、京都の高校駅伝界の“盟主”洛南高校を相手に互角の戦いを見せた洛北高校陸上部。
毎年京大に30名近い合格者を出し、関西圏の名門国立大である阪大、神大まで含めれば50人を超える合格者を出す公立の“超”進学校である。そんな入学時の厳しいハードルもあり、中学時代に実績のあるランナーはほとんどおらず、府外からの入学者もいない。
それだけでなく、実は彼らの練習環境も決して恵まれたものではない。ではなぜ、これほどの急成長を遂げることができたのか。その独特なトレーニング内容を聞いた。(全3回の2回目/続きを読む)
12月の京都・宝が池公園は、真っ暗な闇に包まれていた。
所々に街灯が点在するものの、日の短い冬の季節は足下をみることもおぼつかない。時折、暗闇から草木を食む野生の鹿が顔を出す風景は、少々現実離れした趣がある。
そんな公園の1周1.5kmのランニングコースを、洛北高校陸上部の長距離部員たちが駆け抜けて行く。ペースも、周回距離もそれぞれ異なる。結果的に、駅伝強豪校でよく見る集団走の姿はなく、間隔をあけた単独走で駆けていく。
1時間ほどのトレーニングを終えると、部員たちは監督に当日の自身の調子や走りの感覚などを報告し、矢継ぎ早に走って15分ほどの母校へと戻っていった――。
トラックなし、ロードも走れない…悩んだ末の決断
「学校の近くに競技場がないんですよ。グラウンドは他の部活が使っていますし、学校は住宅街の近くだったり幹線道路が多かったりで、近くのロードもなかなか走りにくい。そんななかで使えそうだったのがこの宝が池公園のランニングコースだったんです」
洛北高校陸上部を指導する難波祐樹は、そう苦笑する。
陸上部の日々のトレーニングスケジュールは、概ね以下のようなものだ。
7限まである授業を4時半に終えると、4時45分には長距離部員が学校の敷地内に集合する。ホワイトボードでその日のメニューを確認すると、補強や動きづくりのウォーミングアップがはじまる。