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「オシャレだなー!」名波浩コーチの狙いで南野拓実の才能が生きた…“三笘薫と久保建英なし”でもイケる日本代表「ポケット活用」とは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byVCG/AFLO
posted2024/01/17 17:42
アジア杯ベトナム戦で2ゴールを奪った南野拓実。彼の動きからは日本代表の「ポケット活用」という狙いが見える
それは日本代表が「再現性のある攻撃」をしようとしているからだ。
……といきなり、そう書かれてもわかりづらいだろうから、以下に前提から記していこう。
まず、アジアカップではディフェンシブサードで守備を固めてくる対戦相手が多くなると予想される。大半のチームは、地力と個人の能力で日本に及ばないからだ。
そんな対戦相手の守備を崩していくための目標が「再現性のある攻撃」を構築すること。そのために、今の代表が意識的に取り組んでいるのが「ポケットの有効活用」なのだ。
ここで冒頭の話に戻ろう。
そのようなテーマが日本代表にあるからこそ際立つのが、南野の積極的にポケットを取りに行く姿勢だ。カタールW杯のドイツ戦だけではない。南野がポケットを取るシーンを、多くの人はイメージできるのではないだろうか。
三笘のドリブル、久保のライン間受けがなくても
何より南野自身が、こう感じている。
「そこ(*ポケットを突いていけること)は自分の良さでもあるし。個人的にも、代表としても、そういうプレーを増やしていきたい、どんどん出していきたい、と思います」
確かに、現在のチームには攻撃時の武器が複数ある。
負傷中の三笘薫によるドリブル突破。久保建英による(相手DFとMFとの)ライン間で受けて守備を切り裂いていくプレー。
これらは他の選手がマネできない特殊技能であり、アジアの頂点を経由して世界一を目指す日本にとって大きな武器である。だから、それらを活かす術をチームで考え、トライすることが大切だ。
ただ、そうした武器は三笘や久保がピッチにいるときにしか使えない。実はチームにとって再現性が高い攻撃ではないことも、理解する必要がある。
そもそも、現在の日本代表は決勝まで最大8試合が組まれるW杯での優勝を目標に掲げ、そのために試合ごとに選手を入れ替えながら戦っていこうとしている。ということは、三笘や久保が出場できない試合も出てくる。実際、今大会の初戦では2人ともスタメンに名を連ねていない。「彼らがいないから攻撃が機能しなかった」という言い訳など認められない。
だから、チームとして「再現性のある攻撃」パターンを持っておく必要があり、その筆頭となるのがポケットの活用である。そして、それにトライする上でお手本となるのが南野なのだ。
それをゴールに結びつけるのが僕の仕事ですから
もちろん、南野は自らの使命を理解している。