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「今が一番いい!」南野拓実29歳が笑って懐かしむ“ハタチの誕生日”…アジア杯2発もスゴいが「不遇のカタールW杯」を独自視点で再評価
posted2024/01/17 17:40
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
南野ルネッサンス――。
我々は、カタールW杯における南野拓実のプレーを、再評価しないといけない。
カタールW杯でもっとも過小評価された日本代表選手は南野である。
劇的な逆転勝利を挙げたドイツ戦、日本の1点目は、左のポケットを取った南野のクロス性のシュートを契機に堂安律がゴールを陥れた。この部分はそれなりに注目されただろうか。
しかし、2点目の浅野拓磨のゴールについてはどうだろう?
リオ五輪世代の盟友・浅野が語った“拓実の活かし方”
板倉滉がFKから浅野へのロングパスを送る直前、「大会前にともにリハビリを頑張っていた浅野と目が合って……」というエピソードは有名になった。
だが、多くの人が見落としている。
板倉がFKを蹴る前、前線で最初に動き出したのが南野だった。
南野が裏に抜けて動き出したために、ドイツ代表の右SBに入っていたズーレはディフェンスラインを下げた。そして、ズーレが一人、ラインを下げたために、裏に飛び出した浅野はオフサイドにならずに済んだ。
あのズーレを動かしたのは、南野が誰よりも前線で誰よりも早く動き出していたからだ。
南野の動き出しの早さ。その価値を熟知しているのが浅野だ。
ともにリオ五輪世代で南野と同学年である浅野は昨年10月のカナダ戦で、カタールW杯以来となる南野との共演を果たした直後にこう話した。
「拓実はチームメートのことを考えて丁寧にパスを出してくれますし、サポートもしてくれます。すごく助けてくれるなと印象はありますけど、それに対して僕がまだ100%で応えられていなくて……」
口にしたのは嬉しさではなく、同志のアタッカーとしての動きを活かしきれなかった悔しさだった。
セレッソの恩師が語った南野の“一番怖い才能”とは
カタールW杯の南野というと、ほとんどの人がクロアチア戦のPKで1本目のキッカーに名乗り出ながら、外してしまった不遇を記憶していることだろう。
では、一体、どれだけの人が、ドイツ戦逆転勝利のキーマンの一人であると認識できていただろうか?