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「箱根ランナーの走り方が大きく変わった」厚底シューズは日本人選手の走法も変えた「日本人には…大きな負担がかかる場合も」 

text by

酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/01/03 06:05

「箱根ランナーの走り方が大きく変わった」厚底シューズは日本人選手の走法も変えた「日本人には…大きな負担がかかる場合も」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

もはや恒例となった厚底カーボンシューズの存在。箱根駅伝で出走した経験を持つ筆者は走り方の変化を指摘する

 しかし、近年はランニングに関する多彩な情報が簡単に入手できるようになり、アフリカ勢に多いフォアフット走法を意図的に取り入れている選手が増加。プラスして、厚底カーボンシューズの影響も大きい。

一流選手も履きこなすのに時間を要した

 というのも最初に厚底カーボンシューズを出したナイキは男子マラソンの世界記録保持者であるエリウド・キプチョゲらの意見を参考にして、初期のモデルを完成させたからだ。筆者はキプチョゲが「ブレイキング2」という非公認レースで2時間切りに挑んだ際に着用していたナイキのシューズを見たことがあるが、前足部に比べて踵部分がきれいだったことに驚かされた。ほとんど踵をつかずに走っているのだ。

 ナイキの初期モデルはフォアフット用の選手に作られたシューズだといってもいいだろう。日本長距離界で最もインパクトのある活躍を見せている大迫傑ですら、厚底カーボンシューズが「最初は慣れなかった」ようで、履きこなすのに少し時間がかかったという。大迫を指導するピート・ジュリアンも「従来のシューズと履いた感覚が違いますし、爪先に重心をかけるような走りになります。スグルも慎重に(走りを)変えていくように心がけてきていました」と話していたほどだ。

ふくらはぎやアキレス腱に大きな負担も?

 トラック種目からマラソンに移行するとき、トレーニングの質と量が変わっていく。シンプルにいうと、走るペースが遅くなる一方で、走る距離が長くなるのだ。そうなると接地時間が長いヒールストライクの方がフィットする。マラソンに挑む選手のなかには、踵着地を意識した走りに変えた選手もいたが、大迫はフォアフット走法のまま42kmをスピーディーに駆け抜けた。

【次ページ】 日本人ランナーも自然とフォアフットに

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