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「甲子園で応援したい!」倍率4倍超の人気部活「大阪桐蔭吹奏楽部」の凄すぎる活動とは? 専用ホールに全国ツアー…入学後には“100曲ノック”も
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/22 11:01
アルプススタンドでも常に抜群の存在感を示す大阪桐蔭高校の吹奏楽部
大阪桐蔭や習志野、天理、愛工大名電、富山商業、高岡商業、常総学院など、野球と吹奏楽の両方が全国レベルという学校は少なくないが、特に全国的にファンの多い大阪桐蔭や習志野などは、メディアからの注目度も高い。彼らにスポットが当たることで、ブラバン応援全体が盛り上がってきているともいえるだろう。
年間100公演超! 全国でコンサート
特に大阪桐蔭吹奏楽部は、コンクールなどの各種大会出場をはじめ、年間100公演を超えるコンサートや、本格的なミュージカル、全国各地で行う依頼演奏や野球応援のほか、登録者数12万人超・総視聴数3000万回を超えるYouTubeチャンネル(吹奏楽部OB会による運営)など、その活動は多岐に渡り、全国の吹奏楽部員からも一目置かれる存在だ。
それは、学校の知名度やブランド力、長年にわたり全日本吹奏楽コンクールに出場し続けている実力だけではない。吹奏楽部出身の筆者から見ても、活動内容や練習環境、入部システムなどが通常の吹奏楽部とはかなり異なる。一般的な吹奏楽部は希望者全員が入部出来るが、大阪桐蔭吹奏楽部は誰でも入れるわけではないのだ。
2005年の創部から18年。全国の中高吹奏楽部員が憧れ、テレビ番組やアーティストとコラボする機会も多い、日本屈指の人気吹奏楽部。いったい彼らは何がどう、すごいのか。
取材のため大阪桐蔭高校に向かうと、まず驚いたのが、校舎に隣接しているシンフォニックホールだ。約200人が合奏できる練習室や録音設備、大画面プロジェクターなどを完備。音楽室で練習する吹奏楽部が圧倒的に多い中、もはや部活の練習室の域を超えている。
入部システムも独特だ。通常、吹奏楽部は「希望すれば誰でも入れる」というケースがほとんどだが、大阪桐蔭には選考がある。具体的に、どのようなプロセスを経て入部できるのだろうか。2006年から17年にわたり吹奏楽部を率いる、梅田隆司監督に聞いた。