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川崎フロンターレの“黄金期”は終わったのか? 三笘薫や谷口彰悟のいない“常勝クラブの現在地”「若い選手も新加入選手も、着実に力を…」
posted2023/08/05 11:03
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
「継続は力なり」
現在の川崎フロンターレには、この使い古された格言がよく似合う。
一時は15位に低迷も…6月以降は7勝2分1敗
王座奪還を掲げた2023年、開幕前の評判は決して高くなかった。
近年、主軸を担っていた日本代表クラスの選手たちの海外移籍が相次いだ影響は大きく、今オフは前キャプテンである谷口彰悟もカタールに電撃移籍。圧倒的な強さを維持し続けることの難しさに直面しながら迎えるシーズンだったからだ。
守備の統率者がいなくなり、開幕直後には車屋紳太郎やジェジエウ、登里享平らの最終ラインに怪我人が続出するアクシデントにも見舞われた。新加入選手である大南拓磨のフル稼働で持ち堪えたものの、勝ち点を伸ばせず、一時は15位に低迷していたほどである。
ところが、川崎フロンターレはしぶとかった。
「いまの順位でも最後に優勝するという目標を持たなければいけないですし、自分はいつも目標を持って考えているので、この時期をいい時間、巻き返すための時間にしたいと思っています」
春先、苦しんでいた時期の鬼木達監督の言葉である。指揮官はたとえ下位にいても「優勝」という目標を譲らず、目指す基準も下げなかった。
勝負の世界では「負けは仕方ない」「優勝できなくてもいい」と結果を受け入れてしまうと、一気に落ちていくものだ。黄金期を築いたクラブや優勝争いをしていたクラブが、そうやって衰退していった例はいくつもある。指揮官はそれをわかっているのだろう。“サイクルの終焉”を囁かれていることは、選手たちの耳にも入っていたかもしれない。だが、そうした声に抗うように、チームは目の前の試合に集中し地力を蓄え続けた。
圧倒的な強さはなくとも、粘り強く戦う。即戦力の補強で瞬発力を上げることよりも、未来を見据えて、若い選手を辛抱強く鍛え抜いていく。こうして徐々に若手や新戦力が噛み合い始めると、フロンターレはコンスタントに勝ち点を積み重ねていった。6月以降の公式戦の成績は7勝2分1敗で、敗戦は1試合のみだ。リーグ戦の順位も7位まで浮上してきた。